理系垂涎の詳細な設定、陰謀渦巻くロボット戦争小説
- ★★★ Excellent!!!
※読み合い企画からのレビューです
海外で拉致され、HuVerと呼ばれる人型汎用重機をテロリストに横流ししたと報道された主人公の一人・藤堂
しかし、実際に拉致されたのは藤堂ではなく、もう一人の主人公である零士だった──という導入から始まる本作品は、理系であれば垂涎ものの設定ガン積みのHuVer、そして中東での紛争に関わる緊迫した物語が魅力だ
恐ろしく詳細でリアリティに満ちているHuVerの設定は、ガンダムやボトムズが好きな方はまず間違いなく虜となるに違いない
往年のロボットアニメを彷彿とさせるHuVerだが、設定はまとめて提示されるため、興味がなければ最低限の知識だけ取り入れて飛ばせるところもストレスフリーだ
日本という安全な国で安穏と生きている我々では想像もできないような地獄を舞台としたが故の緊迫感、焦燥感
そして、戦争をするほうにも理由があって、その負の連鎖を安易に止めることはできないという強い説得力が、本作品の根底に流れている
今なお世界のどこかで行われている戦争をここまでリアルに描くことのできる作者の筆力は圧巻の一言だ
是非、この硝煙と陰謀の渦巻く本作品を一読してみてほしい
次へ次へと読みたくなること請け合いだ