第3話 未来の奥さん
池田こはる。
こはるは、僕の従兄妹で一つ下の女の子。
元々は、こはるの母の連れ子だったけど、こはるの母の再婚により、血の繋がりはないけど、池田家の親戚となった。
ーーーのだが。
なぜ、都会の生活から離れて、単身で、この田舎にやって来たのか謎だ。
勢いよく自室に続く2階の階段を駆け上がり、思いっきり襖を開けて自室に入ると襖を閉めた。
「落ち着け。落ち着くんだ。」
自分を落ち着かせようと深呼吸をする。
そして、閉じていた目を開けた時だった。
「そんなに慌てて、どうしたの誠一?」
あかねが僕の顔を覗きながら不思議な顔をしていた。
「うわぁぁぁぁぁぁ‼︎」
突然、現れたあかねに驚いて大声を上げてしまった。
「ななな、なんで、あかねがここに?」
床にへたり込む僕。
「なんでって、誠一の家に行って声を掛けても誰も来なかったから、勝手にお家に入っちゃった♡」
ニコッと微笑むあかね。
「それ、不法侵入。」
「誠一のお母さんが、あかねちゃんは誠一の未来の奥さんだから、いつでも気軽に家に上がってねって、言ってたから合法。」
母さん。なんて事を。
自分の母の言動に呆れつつ、立ち上がろうとすると。
「あれ?布団が敷きっぱなしになってるよ。」
わざとらしく、あかねがニヤリと笑みを浮かべながら言う。
「それは!」
しまった!と、身の危険を感じて、逃げようとする僕の手を引っ張って、あかねは僕を布団の上に押し倒す。
僕の上に馬乗りになりながら、髪をかき上げる。
「今は、まずいって!待ってよ。あかね!」
「まずいって、何がまずいの?未来の奥さんが、ご奉仕してあげる。」
ケダモノ化したあかねを止める事が出来ない。
この状況をどうすればと考えを巡らせていた時、勢いよく襖が開け放たれた。
そこにいたのは、こはるだった。
「なんで、美野あかねがここにいるわけ⁉︎」
明らかに気が立っているような様子で、あかねを睨みつける。
「誠一、、、。私以外に女がいるなんて、聞いてないんだけど。」
あかねは、さっきの妖美な笑みとは違って、殺気のような威圧感を込めて、僕に微笑みかける。
あぁ、今日が僕の命日になるかもしれない。
「誠一兄から離れて‼︎この変質者。」
「失礼ね!あなたこそ、誠一の何なの!答えなさいよ!」
「二人ともストップ‼︎落ち着いて‼︎」
ギャーギャーと騒がしい2階に、一階の居間では両親がお茶を飲みながら、母さんが相変わらず騒がしいわねぇなんて、呑気に父さんと談笑していた。
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