「あっ! スマホが落ちた! でも大丈夫! なぜなら……」という定型を5話繰り返す大喜利形式の掌編集。ネタのエスカレートぶりが絶妙で、弾性カバーで跳ね返す→量子テレポーテーションで手に戻す→ガルガンチュアで6.1ミリに縮小して終端速度を下げる……と話ごとにSFの技術水準がどんどん上がっていく。
各話の最後に「でもスマホが無事ならそんなリスク、たいしたことないよ」で締めるのが決まり文句で、ミクロブラックホールで宇宙の終焉が来かねない状況でも「たいしたことないよ」とスマホファーストを貫く語り手が、ブラックジョークとしてじわじわ怖い。
一話一話が本当に短く、全体でも5分以内に読み切れる。ラジオ・K氏の作品群の中では異色のポップさで、コズミック・ホラーも宇宙論も出てこない。ただ、「スマホという偶像に全てを捧げる人類」という風刺は薄く底に流れていて、読んだ後にちょっとだけ自分のスマホへの執着を振り返りたくなる。