忘れてしまいがちな価値について
- ★★★ Excellent!!!
少年がバジルソースに希望を見出す物語です。
価値について、または目標について書かれています。
勉強して大学を出て良い職についてという両親の価値観は正しいです。少年が存在しているのはおそらく両親のその信条によるものです。またおじさんについては正しくないところがあります。バイトの高校生からバカにされない方がおじさんは幸せだからです。もし正しさを追求するのなら誰にもバカにされないように、あるいバカにされない場所を目指すべきだからです。
でもそもそも正しさに価値があるんでしょうか?または遥か未来に向かう子供に、自分たちの正しさを押し付ける必要があるのでしょうか?
少年は極身近な目標に希望を見出します。高校生になっておじさんの働いているピザ屋で働こう。新入社員が使えないとXで守秘義務を放棄して発表する偉い大人たちに見せてあげたいですね。
そんな活力溢れる少年におじさんはきちんと価値あるバジルソースを手渡します。この無料で付いてくるバジルソースは社会が作ったものではない2人の間の新しい価値感を象徴しています。誰にも犯すことができない、なにより強力な価値の象徴です。殆どの大人が子供時代に忘れてきてしまって困ってるものです。仕事で忘れ物したらあんなに怒るくせにね。
すごく短くてすごく密な物語です。冒頭にじいちゃんの死を置いてあるのもさりげなく、でもかなり重要な構成ですね。おすすめです。