タイトルの長さに一瞬たじろぎましたが、読み始めたら止まりませんでした。
主人公・浅野日葵の語り口がとにかく好きです。転校生歴ベテランとしての処世術、クラスの力学を瞬時に読む観察眼、そして「これは絶対に関わってはいけない案件だ」と分かっていながら気がついたら巻き込まれている——この繰り返しのコントラストが、物語全体を通じた笑いの核になっています。
河村颯真というキャラクターも絶妙です。厨二の自称勇者かと思いきや、空手の有段者の打撃を完全に無効化し、知らないうちに日葵を聖女としてパーティーに加入させ、朝礼前にスキップと鼻歌でクラスをざわめかせる。強さと迷惑さが完全に共存しているこのバランスが、単なるギャグでもなく、かといってシリアスになりすぎない絶妙な温度を保っています。
洗脳や策謀、陰謀が渦巻く展開を経ながらも、最後に「愛が勝つ」という結末を作者自身が「良いのかこれで」とツッコんでいるあとがきのスタンスも好きです。作者がちゃんと自分の物語を客観的に見ているユーモアが、読者への信頼感につながっています。
肩ひじ張らず、でも読み応えはしっかりある。気がついたら167話を読んでしまっていた、そんな作品です。