「結局残ったのは聖騎士団のみか」

「はい。あのような大爆発、豪雨、そして、目の前にできた巨大な湖。もはや人間の仕業ではない」

「やはり魔王か…」

すると法王は首を横に振った。

「正教会、数千年の歴史の中、数々の魔王が出てきているが、あのような巨大な爆発は残っていない。あの破壊王ですら直径５００ｍのくぼみと記載されているが、かなり誇張されているに過ぎない。実際に、破壊王との戦場跡には、直径１００ｍのくぼみが数か所残っているだけなのだ」

「では」

「比べ物にならない。しかも、本気ではないのであろう。前回派遣した騎士団は全て北極へ飛ばされ、生き残った者から話を聞いたら、『あっちへいけ』と言われた瞬間に数百人規模でテレポートさせられたとか、もどっで来たもの手足に重度の凍傷になっていた」

「するとあの者と戦うのは」

「やめておいた方がいい」

その時だった。

「敵襲！！敵襲！！」

「敵の数は、そして、敵の位置は」

高いところから見張っているものが診ている方向を見た騎士たちは驚愕した。それもそのはず、そこは湖だったからだった。

「敵は一人！！湖の上を歩いてきています！！」

「は？」

「え？」

「どういうことだ？」

一同、湖の方角を見て愕然となった。白い鎧を着た女性が悠然とこちらに向かって歩いてきていたのだった。そこへ、騎士団の中で無鉄砲で有名なエオリアが飛び出したのだった。彼は、騎士団の中でも数少ない飛行魔法が使える人物だった。

「ここは俺様が！！」

ゴーーーーーン！！

すると、彼女の手前で何かにぶつかって、間抜けな姿のまま、湖に落ちて行ったのだった。

「いったい何が起きた！！」

その光景を見た騎士団たちは慌てた。噂ではミスリルの剣が効かない上、どんな魔法もはじき返すと聞く。それは、まるで、歩く要塞。

「くそ！！あの白い奴の正体を見極めてくれる」

エオリアは湖から浮上し彼女へ近づいていった。しかし、目の前の見えない壁に阻まれどうすることもできないでいた。すると彼女は

「法王に伝えよ。降伏し、こちらの言い分と賠償金を頂きたい」

「何を言う！この悪魔の手下め！」

「そうきたか。法皇とはあえないのかな？」

「貴様！、俺たちで貴様を倒してやる」

「そうなの？じゃあ、貴方たちを北極に飛ばすけどいい？」