第38話 「戦闘」

『サウザンドブレディズ』


「うぁああ!!!」


振り向いたら無数の刃が降り注いできて、バリヤーを展開する暇もなく私に着弾して高い金属音は発しながらはじけたいった。


「なに?私の攻撃をバリヤーなしで受け止めるとは、しかも無傷だと~」


その様子を見た騎士様は、驚愕の表情を浮かべているが、私は絶体絶命の状況は変わりない。しかし、反撃するにも何をしたらいいのかわからないと思っていると目の前から消えた。瞬間、私のお腹で金属がパリンと折れる音がした。


「うぐ…や…やられた?あれ?」


すると騎士様は持っていた剣を投げ捨てた。


「予想はしていたが…くそ!!ミスリル製の剣が折れるとは」


騎士様は私を睨んでいる。今のところ無傷…


「この化け物め…『ダークブラスト!!』」


漆黒の球体が私の方へ飛んできた。当然、バリヤーを張る暇もなく顔面に直撃し大爆発した。


ちゅどどどーーーーーーん!!


「やったか?」


そんな言葉が聞こえてきたんだけど、私には全くダメージはない。ちょうど煙が私を隠す格好になっている。


『リモートビューイング』


騎士様の位置を確認


『テレポーテーション』


私は彼女の後ろへテレポーテーションをして肩をがっちりと抑えた。


「いやぁー本当にびっくりした~」


肩をがっちり抑えられ身動きが取れない騎士様は固まっていた。


「ダ…ダークブラストが効かないのか…」


「こんどは私の番だよ」


『ラムちゃんアターーック!!』


電撃が騎士様を襲った。


「うぁああああああ!!」


しばらくして、騎士様は、崩れるように倒れた。


「気絶したかな?」


一応生きているかを確認すると息をしているし、大丈夫なことを確認した上て、念のために


『ヒール』


を掛けておいた。しかし、この空間を取り巻くバリヤーは解除されなかった。しかたない。これは、無理矢理解除しかないよね


『レジジョン』


バリヤーはどうやら解除されたみたいね。私はこの場を離れようとした時だった。


「ま…待て…」


騎士様は立ち上がってきた。そして、私の手をつかんだ。


「な…何?」


「離さすものか!!これでお前も道連れだ」


その言葉を聞いて前に来た騎士も自爆したのを覚えていたので。まずはこの騎士様から離れないと、必死に手を振りほどこうとするが、騎士様は手を離そうとしてくれない。


「離して!!」


「だれが…離すものか」


しばらくして、騎士様はじっと私の手を握ったまま


「いい加減に離してよ」


しかし、何も起こらない。この間はこのくらいで既に自壊をしていたはずなんだけど、騎士様は発動しない。やがて、何も起きないことに焦ったのか私を握っていた手の力が抜けた瞬間に、その手を振りほどいた。


「どうしてだ?」


騎士様は不思議なことを言っている。


「なぜ自壊できないのだ!!」


うなだれている彼女の手は力なく離れていった。すると数人の騎士たちが現れてきて、私を取り囲んだ。


「クラリス様!!大丈夫ですか?我々が」


「ああ…大丈夫だ。お前らこそどうしてここへ」


「対魔結界が崩壊したもので」


騎士様は驚いていた。


「対魔結界が崩壊しただと…あれは、上位騎士10名の魔力を使っているのだぞ」


「それが…」


騎士の一人曰く、対魔結界用の宝珠水晶が突然爆発、そこへ魔力を注いでいた者たちが吹き飛ばされ、気を失ったといる。ひょっとして結界ってあのバリヤーのことなのかしら、ということは原因は私ってことになるの?


「部下達は大丈夫か?」


「ああ…魔力の逆流を受けて気を失っているだけだ。それよりクラリス様こそ…まさか自壊を」


「ああ…この女を道連れにしようとしたが発動しなかった」


「なんと!!」


すると彼らは剣を抜いて私を取り囲んだ。私が彼らを見ているとあの時と同じ光景が見られた。そうクラリスと呼ばれている騎士様を治した時に体についていた黒い不気味なもの、それと同じものが騎士たちの体についていたのだった。


「あれは…」


すると数人が目の前に倒れ込んでいるクラリスを助け出し、直ぐに距離を置いた。


『エナジーボール!!』


『ウィンドカッター』


『ファイヤーボール』


数人の騎士たちから一斉に私に攻撃始まった。当然、バリヤーを展開する暇ものない。


「きゃ!!」


雨あられと降り注ぐ魔法攻撃が襲ってくる。しかし、私は何故かノーダメージ


「だ…大丈夫だ」


ちゅどんちゅどんと爆発しその爆風で砂ぼこりを巻き上げている。私は周囲にいる騎士たちが徐々に増えているのを確認していた。そして、そのすべての人にあの黒い不気味なものがついていることに気付いた。あの時、ヒールをつかうと確かあの時の騎士は気絶したということは、ヒールで全員を傷つけることなく気絶させることができるかもしれない。

しかし、今は、攻撃を受けている最中、ノーダメージの原因はわからない今、下手に魔力を使用する訳に行かない。私は攻撃がやむのを待った。


しばらくして、攻撃がやんだ。


「やったか?」


するとクラリスは叫んだ。


「後ろにいるぞ!!」


そう私はテレポーテーションで後ろに回っていた。


「今度は私の番だよ。『レンジヒール!!』」


私の言葉にその場にいた騎士たち全員が言葉を失った。


「・・・」


「な…な…なななんだと?攻撃がヒールだと…」


「非常識すぎる!!」


彼らは戦闘態勢を取り直した途端、心臓を抑え苦しみだした。


「直ぐに反撃…う」


「うわぁああああ!!」


その様子を一人で見ているクラリスは何が起こっているのかわかっていない。しかし、これだけの人数、やっぱりフルパワーでやらないといけない


『ヒール フルパワァアアアアアアーーー!!』


すると一人ずつ体から黒い物体が飛び出した瞬間、ばたりばたりと気を失って倒れて行った。


「ふぅー終わった」


ガキん!!


「うっ」


終わったと持ったらお腹に剣が当たって砕けた。


「この~化け物め…何をやった!!」


クラリスは砕けた刀を持ちながらわなわなと体を震わせ私を睨んでいる。


「ヒールですけど」


「ヒ…ヒールだと…ふざけるな!!皆殺しにしておいて」


「おかしいな?そこにいるみんなは生きてますよ。ただ、気を失っているだけですよ」


「嘘をつくな!!」


折れた剣で何度も私を叩いてきた。


「やめてください」


役に立たない剣を見て、くそっと殴り捨てた。そして、私をこれ以上ないというくらいの形相で睨んでいる。すると、一人の兵が


「う…ん」


うなり声をあげた。するとクラリスはその騎士のところへ駆け寄っていった。


「大丈夫か?」


「う…ん、はっ!!クラリス様!!大丈夫です」


目を覚ました騎士は立ち上がり剣に手を掛けた。


「きぇぇぇえええ!!」


『ホーリーソード』


青白く輝いた剣が私の腹部に当たった。こんどこそやられた…と思った瞬間


ガキン!!


その剣は木っ端みじんに砕け散ったのだった。


「なに!!魔法をかけた剣がくだけたたど」


その光景を見た全員が信じられない様子だった。しかも、私に剣を向けた人物は抱き着いてきた


「な…何を?」


『自壊』


自壊ってことはこのまま爆発するのではと思っていると


「あれ?」


『自壊』


・・・


何も起きない。しかも、私の抱きしめている力が緩んだ。


「もー!!いい加減にしてーーー!!」


パチ―ン!!


私のビンタが抱き着いた騎士の頬にさく裂した。


「ぶへっ・・・」


こうしてこの戦いは終わったのだった。


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