第30話 「暗殺者」


「わしは司祭だぞ!!こんなことをして許されるとでも思っているのか!!」


牢屋の中で司祭は叫んでいた。すると、牢屋の入り口にある小さな扉が開いた。


「おい!!そこの!!わしをここから出せ!!」


コトン!!


「飯だ!!」


「は?」


配膳係は直ぐに小さな扉を閉めた


「おい!!貴様!!」


司祭の声は虚しく響くだけであった、


***


準司祭のアルバイトは、王宮に来ていた。それは、司祭を解放させるためだった。


「陛下!!いったい何を考えておられるのですか?」


「は?アルバイトこそ、何を言っているのだ」


「司祭様は、本部から来られた人ですぞ」


「だからなんだ?」


「このことが本部に知られたら、どうなることやら」


「なにがだ?」


「この国を異端とみなしますぞ」


「別に好きで司祭殿を拘束したのではない。彼には婦女暴行及び強姦未遂の容疑があるのだ」


「婦女暴行って…女性に対して別にそんなことはどこでもあることでしょ。大体、偽聖女の本性を暴いた結果、たまたま、服が破れただけでしょうが」


「何を言っているのだ?奴は聖女に対して妾になれと迫ったそうではないか」


「どこにそんな証拠があるのだ?」


「ここだよ」


すると王様は、ある機械を取り出した。それは蓄音機と呼ばれる機械だった。その機械を部下に命じて回し始めると二人の会話が聞こえてきた。



「な…なななななんですか?」


「はぁはぁはぁ…わしの妾にならぬか?」


「はぁ?」


「はぁはぁはぁ…どうじゃ悪い条件ではないと思うが、このエセ聖女様」


「やめてください」


「貴様!!優しくしていれば…調子に乗りおって、わしが本部に魔王の手下と報告していいのか?」


「くっ?」


「どうせ、魔力は5なんだろ。そんな奴がこのわしに勝てるはずはないわ」


「はなして~!!」


「ほう…まだ抵抗するのか、抵抗されるほどやりがいがある。」


「やめてー!!」


そこまで音声が流れたところで蓄音機を一度止めたのだった。


「これでも、まだ、司祭を庇う気か?」


「くっ…」


アルバイトは黙ってしまった。


「それとも、これのコピーを教会本部の大司祭様に送ろうか?」


「そんな」


「だったらこのことはこの儂に任せることだ」


アルバイトは王様をじっと睨んでいた。するとそこへ教会の部下が入ってきた。


「アルバイト様…」


何やらアルバイトに耳打ちをしている。そして、アルバイトはにやりとほほ笑んだ。


「陛下、直ちに司祭様を解放していただきたい。さもないと、偽聖女をかくまった罪で貴国を異端の国として、多くの国は貴国との国交を断絶するであろう。更に、匿うといのであれば、聖騎士団の派遣も検討すると言っておられるそうだ」


「だからどうした?」


「へ??今なんと言われた?」


「だからどうしたと言ったのだが?」


「わかっているのですか?」


「おう…わかっているよ」


「そうですか。忠告はここまでにしておきます」


こうしてエターナルと教会の仲が悪くなったのだった。そんなこととはつゆ知らず私は、この間の戦闘があった場所へ行っていた。それは、私が破壊した20キロ四方の森林と50キロ四方の森林がどうなっているか、更に魔物たちが出てこないかを調べる為であった。


「マーリン様、ここは大丈夫そうですね」


「そうじゃな」


私たちは手前にできた20キロ四方の広大な空間へ来ていた。


一人になった時だった。一人の女性というより、格好は騎士のような人が私の前にあらわれた。


「ニセ聖女ですよね」


「あなたは誰?」

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