「精神世界」に、これほど圧倒的な質量を感じる作品があるでしょうか!
これはもはや、新世代のセカイ系! 緻密に積み重ねられた単語の一つ一つが圧巻です。
重厚さと軽やかさ。硬質さと、さまざまな感触、質感。そして頬に風を感じるほどのスピード感!
それら全てが「虚ろの白〈ホロウ・ホワイト〉」に収束していく――。
でも、表現力に惑わされてはいけません。
むしろ、この作品の本当の魅力はもっとシンプルなところ――少年少女たちの「願い」にこそある、と感じます。
まだ青年になり切る前、少年時代の終わりごろの、自分でも手に負えなかった巨大で荒れ狂うような心象世界が、生き生きと映し出されています。
共感というのとも少し違って――読んでいて、逆に心の中を見透かされているような、そんな作品です。
そのみずみずしさ、爽快さ、目も眩むような青春の一種の気恥ずかしさと、泣きたくなるような何か――これらを言い表す単語が見つからないのがもどかしい。
一気に読んでしまいそうで、でも大切に大切にゆっくりと読み進めたくて、でも最後のほうは我慢できずに一気読みしてしまいました。
読み終えた時の、寂しいような、泣きたくなるような読了感が忘れられません。
できれば、もっともっとホロウライト世界に浸っていたかった。
作者さまの次回作もめちゃくちゃ楽しみにしています。
繊細な筆致でありながらも、しっかりとした情熱を感じさせてくれる力作です。緩急のつけ方はまさに一級品。オンオフの切り替えなんて生易しいものではなく、オンのときには感性が爆発しています。ありったけの力を込めて、言葉を叩きつける。淡々と書き進めて、墨が尽きかけてきた筆をそれでも振るい続ける。このときを待っていたと言わんばかりに。見せ場での、そんな粘り強く勇ましい文章表現の数々には圧倒されました。
ストーリー部分も素晴らしい。好きな人には絶対に刺さるであろう点を踏襲しつつ、本作でしか味わえない面白さや臨場感も用意されています。魅力的なキャラクターたちに、手強い敵たち、そして彼ら彼女らが織りなす感動と驚きのドラマ。たしかな技術と感性に裏打ちされた文章のおかげで、安心して読み進めることができます。堅実で面白い作品との出会いを探している人にとって、これ以上にふさわしい作品はないでしょう。
興味を持った方は是非、この非日常の世界に飛び込んでみてください。
またとない感動に心が躍ること請け合いです。