なろう小説とは何ぞや?
- ★★★ Excellent!!!
あらすじだけなら、日本人男性が剣と魔法の異世界にチート能力を持って生まれ変わる典型的な「なろう小説」である。
しかし本作はテンプレートからはあまりにも外れたストーリーを辿る。
とにかくリアリティのある他人、社会がそこに存在して、主人公の前に立ち塞がるのだ。
主人公は無法者になることなく、地道に信頼を勝ち得ていくのである。
安易な展開を決して許さない、考え抜かれた作品である。
本作のメインテーマが語られるのは、主人公が成功者となった後の帝都編である。
帝都は自由、平等、民主主義といった価値観を持つ、現代日本のメタファーである。
帝都にはフェミニストやマスメディアが存在して正義党という政党を応援している。
女性に相手にされない底辺労働者の男性達が不満を抱えて爆発寸前だったりする。
現代日本を鋭く分析しており、大変に危険である。
だからこそおもしろい。おもしろすぎる。