第4話 霊子の仕組みを理解する
「ところで先ほどは、なぜため息をつかれていたのですか?」
私はルネが畑の前でため息をついていたのが気になっていたので、率直に聞いてみた。こういう時は子どもの姿って便利だなと思う。
「ははっ、恥ずかしいところを見られていたようだね。実はここ最近雨が降っていなくてね、畑にまく水が足りなくて困っていたのだよ。私は"
ルネの言葉の中に聞き慣れない単語が出てきた。
「何ですかその、"
「むっ? それも覚えていないのかい? よろしい説明してあげよう!」
ルネの説明によると、この世界の住人の中には"ギフト"と呼ばれる特別な力を持って生まれる者がいるらしい。その力は三段階ありその持ち主はそれぞれ、『対象の力を借りることができる"
『対象の力』とはこの世界に存在する"霊子"のことを指し、"霊子"には以下の9つが存在する。
・火 イグナフィア 火を扱い、筋力の強化も行う
・雷 ヴォルテジア 雷を扱い、神経伝達速度の強化も行う
・風 シルハディア 風を扱い、感覚の強化も行う
・水 アーケティア 水や氷を扱い、精神の強化も行う
・地 テルラギア 土や金属を扱い、耐久力や体力の強化も行う
・光 ミスティニア 聖なる波動や癒やしの力を扱う
・闇 カドゥーシア 闇の波動や感情、死を扱う
・冥 クロディエナ 時間や重力を扱う
・虚 ニュリーヴィア 霊子が存在しない世界を扱う
それぞれの相性は、火>風>地>雷>水・氷>火、光⇔闇となっており、冥は独立、虚は全ての霊子を打ち消す存在となっているそうだ。
ルネはその中でも水の力を借りることができる"
ちなみに、この世界の約半数がギフト持ちで、ギフト持ちは"ギフトホルダー"と呼ばれ尊敬の対象になっているそうだ。ギルトホルダーの中でも約80%が"
「それではルネさんは、ギフトホルダーだからエリートということですね」
これからお世話になるので、お世辞も混ぜつつご機嫌を取ってみる。
「いやいや、"
ルネは謙遜してそう言いつつも、嬉しそうに笑顔を見せる。
「そして、"
なるほど、この世界の霊子の仕組みはよく理解できた。正直、聞いただけでは信じられないけど、私の中に"
それに私の"
「ところでそのギフトとは一人に一つしか与えられていないのですか? 例えば水と火、両方の"
私の質問に少し考える素振りを見せてから、ルネが答える。
「うーん、絶対いないとは言い切れないけど、少なくとも僕は聞いたことがないな」
どうやらギフトを2つ持っているのは珍しいようだ。
「それでは、複数の霊子を操るような特別なギフトはあるのでしょうか?」
僕の質問に驚いた後、ルネは少し笑いながら教えてくれた。
「君はなかなか面白いことを思いつくね。今まで考えたこともないけど、さっきの質問と同じように僕は聞いたことがないな」
そうなると自分の持っている"
「もし、そんな人がいるなら、もうそれは人じゃなくて神様かもね!」
もしかしたら私はこの世界では神様なのかもしれない。と言うのは冗談としても、『この力が知られたら、余計なトラブルに巻き込まれるかもしれないから隠しておこう』……なんて考える訳がない。私は研究者なので、自分の好奇心を満たすためにガンガンこの力を使っていこうと決めた。
「もうひとつ質問です。霊子以外を扱うギフトもありますよね?」
霊子についてはよくわかったので、"
「これまた突拍子もないことを思いつくもんだね。霊子以外が何を指すのか僕には検討もつかないが、そんなギフトも聞いたことがないよ」
驚いた。どうやらこの世界には原子や分子の知識は存在しないようだ。だとするとこの"
さて、最初の質問に戻るとルネは水がなくて困っているとのことだ。ここは"
「色々、教えていただきありがとうございました。おかげで霊子の仕組みがよくわかりました。そして今は、畑に水をまけばいいのですよね?」
一応、畑に撒く水が必要だと言うことを再度確認する。だとすれば
「この辺はみんな知っていることだから、改めてお礼を言われると恥ずかしいな。それで水の話だけど、どこかに水が余っていればいいんだが、この近くにはないからとりあえず雨が降るのを待つことになるかな」
私が"
そんなルネの言葉を無視して、私は"
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