これほどアツいロボットものがあっただろうか。
これほど更年期のつらさを共感させられ、それでも燃えねばならぬ時もあると教えてくれるロボットものがあっただろうか…!
これは、更年による、更年のための、アツい戦いの記録である!!
主人公オメロ=ツハイダーはまさに更年真っ只中。四十越えの彼が自身の身体に抱える不調には共感の嵐しかない。(本ッ当に急にガタが来るからな! 若年の諸君!)
そんなオメロが愛機テッカイトを操り、未知の敵と戦うのだ。時には訳アリそうな美女ナディルカ=アランチと『なんやかや』しながら…!
登場するロボットは昨今の『技術がない子供が乗っても〇ュータイプ能力で動かせちゃう』ようなものではない。計器類が詰まったコックピットに、人間工学に即している操縦席。レバーをグイ―っとやるような(貧困な表現力を許してくれ)『操縦している感』が強いロボものが好物なら、大興奮間違いなし!!
『運動』の先行指示を叩き込んでいく動作に惚れ惚れし、技術を磨き続けてきた更年ならではの手慣れた動作に感動すら覚えるだろう。指の腹で感覚を掴みながら、とんでもないアクロバティックな動きをさせたりできるのだ!
オメロの他にも魅力的な人物が登場するのも、お薦めポイント。
個人的にフーリ君ことフーリ=ミトライカーを推しておく。
彼はこのお話の清涼剤かもしれない…と割と本気で思っている。フーリ君、いつも大爆笑をありがとう!! いいヤツだ君は。
物語の途中でちょいちょいと挟まれる『昂燃メモ』がまた面白い。
オメロの心理描写は引きずり込まれるほど深く、やはり更年ほど彼の心理がよく分かるのではなかろうか。そんな彼の気持ちに徐々に火がついていくさまが丁寧に描かれているため、まるで我が事のように気持ちを重ねてしまうのである。
シビアな操縦感のあるロボットものが好物な方、なんだか最近何かにアツくなれないなーなんて思っている方に、全力でお薦めしたい。
この作品のストーリーを簡単に紹介するなら、作業用掘削ロボットを駆って鉱山で働く無骨無作法なおっさんが、謎の無機質生命体と遭遇し、やがて世界の命運を賭けて必死に戦う事になるという、熱く燃えるロボット物です。
この手の搭乗型ロボットバトル物だと、格好良い兄ちゃんや、或いはオタク気質の少年が、華麗なテクニックや根性を駆使して戦ったりするのですが、本作の場合は、脂ぎった部分を残しつつも少しずつ枯れつつもある、そして体調も悪くなりつつある、そんな中高年のおっさんが主人公という、どうにも生々しい生活感を感じさせる設定だったりします。
しかしそんな現場仕事しか出来なさそうな、くたびれたおっさんが、自身の愛機に何気無く搭乗すると、魔法としか思えない熟練の技を、シャツのボタンを片手で留める様な気軽さで披露するという、このアンバランスな格好良さが、加齢臭すらほんのり漂い始めたおっさんに光を与え、そして大きな秘密を抱えて近づいて来た女上司を、次第次第に惹きつけてしまうという……おっさんを主人公にしたからこその、納得の展開となっている次第です。
おっさんが主人公だからこそ、歳をとろうが、今までの人生がどんよりしていようが、何事かを選択して決断し、己の為に乗り越えなければならないという、そういったメッセージが強く伝わる本作品、読んで損の無い逸品です。