Ⅲ,光

いつの事だっただろうか、あの子と一緒の生活が始まったのは...

楽しかったと思う。ご飯の時も、普通にたわい話をしているときも、全部。

今日でそろそろ4年半だな...そう俺は考えて、しみじみと感じた。


「お〜い、ヒカリ〜。ちょっと来てもらっていいか?」


「...あ〜...ちょっとお待ち下さい」


洗濯かごを持ってやってきた少女ヒカリ...俺が4年半前に拾った少女だ...が...


「何でしょう?」


首を傾げ、俺を可愛い目で見つめる。

あの頃は、あまり容姿を気にしていなかったが、こいつはかなりの容姿を持っている。前まではずいぶん小さかった身長も俺の肩らへんまでに伸びたし、特に...あそこの成長がすごい...


彼女の...左右違う色の目...左は前に失明してしまい、白色になっているが、右目は今も透き通るように美しい紅の色をしていた。


そんなミニスカがフリフリしていて、無意識と性的な目で見そうになってしまった。

「...あ、そうだな...ちょっと仕事が入った。今回のはかなり簡単な仕事だからお前の練習にもなる。一緒に来ないか?」


さっきまでの考えを全てのふっとばし、

ヒカリは嬉しそうに頬を緩ませて、可愛らしく目を細める。


「嬉しいです。ぜひお願いします!」


俺はヒカリの無邪気な笑顔を見て、少しだけ肩の力を抜いた。彼女がここに来た当初は、笑顔を見せることなんてほとんどなかった。それが今ではこんなに屈託のない笑顔を見せるようになったんだから、俺も少しは役に立てたのかもしれない。


「じゃあ準備しとけ。20分後に出るぞ。」


そう言って俺は立ち上がり、自分の机に向かった。机の上には今回の仕事の概要が載ったファイルが広げてある。

俺たちがやるのは、3つほど離れた町で頻発している失踪事件の調査だった。

目撃情報は曖昧だが、関連するかもしれない情報もある。夜になると町外れの森の近くで奇妙な光と音を見たという話が多い。ただ、警察側も数人が失踪するなどの損害が起きている。その為、俺達が呼ばれたということだ。


「まあ、偵察みたいなもんだ。危険はなさそうだが、一応警戒はしとけよ…」


ふと後ろを振り返ると、ヒカリがすでに身支度を整えて立っていた。黒いジャケットにミニスカートという、彼女らしい軽快な格好だ。彼女の腰に巻かれたホルスターには小型のナイフが収まっている。訓練中に俺が作った特注品だ。


「準備、できました!」

「お前、早いな。そんなに張り切るなよ。まだ始まってもいないんだから。」


「でも、こうして仕事に出かけられるのって、ちょっと特別な感じがします。」

ヒカリは微笑んでそう言うと、俺の隣に歩み寄った。


俺は少しだけ視線を落とし、彼女の顔を見た。その表情からは、期待と興奮が滲み出ている。俺は少しだけため息をつきながら、彼女の頭を軽くポンと叩いた。


「わかったわかった。じゃあ行くぞ」

そう言って、俺たちは玄関を出た。


夜の町外れは静寂に包まれていた。風が葉を揺らす音と、遠くで鳴くフクロウの声だけが聞こえる。俺たちは森の入り口に着くと、慎重に周囲を見渡した。


「…変わった光って言うけど、どんな感じなんだろうね。」

ヒカリが小声で尋ねる。


「目撃者の話じゃ、青白い光がフワフワと漂ってたらしい。だが、光源も何も見当たらなかったそうだ。」


その時だった。俺たちの目の前、森の奥から淡い青白い光が現れた。光は静かに揺れながら、こちらに近づいてくる。


「…おい、ヒカリ。絶対に俺のそばを離れるな。」

俺は低い声で警告すると、彼女は真剣な表情で頷いた。


この仕事、やっぱり「簡単」とは言えなさそうだ…。







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