仁義の戦いと暗中模索

これは、力のない者が力ある者に抗う復讐譚である。
ある者は無稽の言に弄され蚕食の尖兵となり、ある者は失った平和を取り戻すため仲間の盾となる。
そこにあるのは友情と諦めない心である。

望めば国をも侵略できる魔神が現実を見据えて半ば諦めぎみなのに対して、一介の特攻兵に過ぎない彼らが抗う対比が際立つ。

彼らはいわずもがな、支配者層とて簡単な道のりではなく先人の失敗あるいは成功から学び道を切り開いていく。
交国の玉帝が峻烈な征圧を押し進めることにより、登場する人物がみな復讐者という一見詰め込みのようなストーリーが受け入れやすい。

また、同作者の他の短編と話が繋がっており、なぜ敵が暴虐の限りを尽くすのか。という点も下地がある。
350話読了したところだが、かなり満足している。心から椽大之筆と言わせてほしい。