確かにこれは、所謂異世界ものによくあるパターン（そんなもの、身勝手な経験則から作られたセオリーの「ようなもの」に過ぎないが）の名前ではないが、それでも異世界なんて名前に冠するもんだからここ数年、電子上を騒がしている異世界転生ものと思ってしまったが、残念というべきかこちらは硬派なSF短編である。しかしながら、内容は面白いという他なくとても満足できたことは間違いない。典型的な筆者を投影した書き始めであったがために、「なんだなんだ、自分の理想を押し込んだ愚文であろうか」と思っていたが、理想とは程遠い簡素な展開に反応、心情であったのでとてもリアリティがあり好印象であった。しかし、一つ言うとするならば恋愛に対しての表現の詰めが甘いと感じた。経験不足か、はたまた期限に追われたからなのかはわからないが、あまりにも簡素「すぎる」という印象を抱いた。是非、次にも挑んでほしい。