第3話

「一葉~タピオカ屋あるぞ~人も少ないし買ってやろうか?」

「お父さん...タピオカのブームは過ぎたのよ...それと人が少ないのはたまたまじゃなくて人気がないからだよ。」

「3年もしたらブームも過ぎるのは当たり前か~」

そう、僕たちは一葉の希望でショッピングモールに買い物に来ている。

父さんは3年も居なかったのだからブームを知らないのは当然だな...

今のブームはなんといっても台湾カステr...


「今のブームは...台湾カステラはこの前終わっちゃったし、10円パンだよ!あそこにお店があるから買いに行こ!お父さん!」

「買ってあげるよ~」


なん...だと...

俺のブームの知識が古かったというのか!

今までこんな間違ったブームの知識を身に付けていたとは...恥ずかしい!

ま...まぁ今日学べたから問題はない!問題ないはずだ!


「皆の分も買ってきたよ~」

「隆二さん、私の分はよかったのに...」

「折角だから皆で食べようよ~」

「隆二さんがそう言うなら...」


母さんはこう言うのは、父さんが居なくなってから家計が厳しくなって、流行りっているやつは高い上に量とか味が良くないという考えを持っているからだ。


「今の若者はこんな味が好きなのか~」

「流行りに味は求めないのよ!父さん!」

「そっ、そうなのか~」


まぁ、味の好みは人それぞれだし流行りのなかでも美味しいものがあるのは分かっているが...

俺は流行りのものはあんまり美味しいとは感じない。


「次は服見に行こ!お父さん!」

「父さんセンスないけどいいの~?」

「うん!お父さんと一緒がいいの!一緒に買い物するのも久しぶりだし!」

「そっか~...」


父さんは服のセンスがない。それも絶望的に

今も帰ってきた時の服の上から上着みたいなのを羽織っている。今は夏なのに...

暑くないの?って聞いたら魔法で体温調節してるから大丈夫だよ~って帰ってきた。

ずるい


「こっちとこっちの服どっちがいい?お父さん!、かな~?」

「こ...こっちかな~?」

「やっぱりお父さんもそう思う?じゃこっちにしよー」


父さん究極の二択に勝利したか...

どっちがいいっていうのは既に答えが決まってるってネットで見たぞ。

間違った方を答えると...やめよう、想像したくもない。


「お父さん!ゲーム買って!」

「いいぞ~どんなゲームなんだ?」

「えーとね...勇者が魔王を倒すやつ!」

「...勇者っていうのは大変なんだぞ~みんなの期待ってものがあるし...あぁ、すまん、どんなタイトル?」

「えーとね...このアルファの冒険③ってやつ!」

「あれ?これって前1が出てたやつじゃ...3年も経ってるからか~たまに忘れてしまうんだよな~」


父さんがなんか勇者の闇について語りそうだったな...

やけに感情が籠ってたしまるで自分が体験したような声だったな...

まぁそんなことはないだろうけど。


「そろそろ昼食にするか~皆!」

「そうね...隆二さん、そろそろ12時になりますしね」

「フードコートあるしそこで食べるか~皆なに食べたい~?」

「私はハンバーガー!」

「僕は海鮮丼にしようかな」

「俺はステーキで」

「私は...あまり食べられないからうどんにでもしようかしら....隆二さんはラーメンですよね?好きでしたもんねー」

「いや...僕は翔海と同じステーキにするよ~ラーメンの気分じゃないんだ~」


あんなにラーメン好きで毎週1回は食べてた父さんがラーメンじゃなくてステーキ?まぁ...異世界で色々あったと思うから食の好みも変わったのかな...


「「「「「いただきまーす」」」」」

「ハンバーガー美味しい!」

「こらこら、食べながら話さないの」

「はーい」


父さんは...あんなにステーキ食べて大丈夫か...?

誰も何も言ってないけど1kgはあるぞあれ...まぁいいや、父さんにとっては久しぶりのこっちの世界での外食なんだ...こうなるのも仕方ないな。

うん!このステーキも普通にうまい!


「「「「「ご馳走さまでしたー!」」」」」


いやー美味しかったなぁ優太が海鮮丼にワサビ入れすぎて辛い!辛い!って言って水飲んだ瞬間もっと辛いって言い始めたのは面白かったなぁ...

その後父さんが魔法で治してたけど...便利すぎないか?あれ


「それじゃあ、皆?他に欲しいものとかない?ないなら帰るわよ。」

「そんな早く帰るってことはなにか用事でもあるのか~?」

「翔海の習い事があるの。隆二さんがいなくなってから翔海は家族を守るためだ!って言って格闘技と剣道を習い始めたのよ。今ではすっかりを剣道好きになって高校の部活でもやってるのよ。府大会上位らしいわよ」

「凄いんだな~翔海も成長したな~で?どこで習ってるんだ?」

「隆二さんのお父さんのところよ」

「...本当に?」

「本当よ」


父さんなんか顔色悪くないか...?

そんなにじいちゃんのことが嫌いなのか...?いや、仲は良かった筈だ。


「翔海...苦労かけてごめんなぁ...鍛練きついよなぁ...」

「いや、俺も家族を守るために必死だったし辛くなかったよ!てか、父さん!じいちゃんに顔見せに行ってやれよ!」

「いや...その...父さんはもう少ししてからいこうかな~....って」

「じいちゃんはワシの息子が寿命以外で死ぬはずがない!なんてったってワシが育てたんだからな!って今でも父さんのことを待ってるんだよ!」


じいちゃんは凄い

僕なんか足元にも及ばない強さだ

練習はきついけど


「そ、それじゃあ帰ろっか~」


あ、話逸らした

まぁ父さんもうどっかに行かないって言ってるし会うのはもう少し先でいいかな...?


「隆二さん!翔海!帰りますよ!」


そうして僕たちは家に帰った...

勿論練習は一段と辛くなった...父さんが会いたくないって気持ちも分からなくないなぁ

じいちゃんのことだから行方不明になるのはどういうことだ!とか言って竹刀で殴ってきそうだもん...はたして二人が再会するのはいつになることやら...














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