君との約束

蒼雷

プロローグ

暗闇の中、1人の女性が僕に背を向けて立っている。その女性に近づくために歩きだしたとたん、女性が声を発した。


『背の―――の行く――が思ひ―――らの―――』


声が小さく、はっきりと聞きとることができなかった。その声をはっきりと聞くために、僕はさらに女性に近づいた。


『背の君よ あいの行く先 いづくにか 汝が思ひ出 桜のごとき』


今度は、はっきりと聞こえた。だが、言っている意味がわからなかった。


『あの…それって…』


『どう?上手になったでしょ?』


女性がつぶやいた言葉の意味を聞く前に、女性の声が返ってきた。その女性はいつの間にか僕の方を振り向いていた。そして、瞳に涙を浮かばせながらも笑っていた。なぜか自分も一緒に泣いていた。


『そんなに泣いてどうしたの?』


僕が自分の涙を拭きながらそう聞こうとした時、突然辺りが真っ白な光に包まれた。

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