気づいてるんだろ?

なんてことない帰り道

でも、その日は何かが違った



部活からの帰り道

あたりはもう夕日の面影を失って夜になりかけている

いつも通り、近道の路地裏に差し掛かりながら

ボーッとしながら歩いていた


ニャー


路地裏に入りかけた時後ろから愛らしい声が聞こえる

ここら一体のボス猫だった

こまめに魚なんかあげてたら腹を見せてくれるまで懐いた可愛い猫


でも、いつもと様子が変だった

帰ろうと足を動かすと行く手を阻んでくる

「ニャー」

と、また鳴く

よく聞いてみればいつもの甘い声とはだいぶ違った

まるで行くんじゃない、と止められてるようだった

けれど自分は部活終わりで疲れてたからそれを無視して歩き始める


猫はまだ後ろで威嚇するように鳴いていた


なかばまで歩いて気づいたことがあった

いつもと雰囲気が違がうのだ

公衆トイレみたいなジメジメした感じ

それに周りの様子だって違う缶が所々転がってるし何より





猫の声も、酔っ払いの罵声も虫の声も風の音も何もかもが聞こえない


横にある電柱のライトはしつこい程チカチカと点滅を繰り返している


そして気付く

見られてる


上だ




何かいる

何かはわからないけど何かいる

見られてる

電柱の上だ、猿みたいな目をしてる

けど全身はわからない。子供の描いた絵みたいに線がグジャグジャだ。


森で蛇や猪にあったような恐怖だ広がっていく

怖いなんだあれはなんでこっちを見てるなんで誰もいないんだなんでこんなのに会うんだなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで

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不安 あき @08010526

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