第29話 Party Time*小鳥*

*小鳥*


「よーし、あとひと頑張り!」


 琴葉が戻ってきてから狩りを楽しむ。


 それまでの間なにをするのかって?


 まず、神社を燃やします!


 イェイ!


 村長の家は燃やしてあるから、敷地にある木も本殿もなにもかもぜーんぶ。


「ファイヤーァァァァァァァ」


 着火。


 神社燃やしたら普通呪われそうだけど、そこらへんは聖が話をつけてくれてるらしい。


 祀られている神様と。


 なので遠慮することナッシング。


「もーえろよ、燃えろーよ」


 巨大なキャンプファイヤみたいな感じ。


 楽しいっす。


 パチパチパチ。


 思わず拍手しちゃったぜ。


「おいっ、誰か池の水を――」


 おっと。


 のんびりしてる場合じゃなかった。


 隠れなきゃ、隠れなきゃ。


「あははっ、集まってる」


 四月一日家を囲んでいた村人たちが全員火消しにまわった。


「無駄なのに頑張るねえ」


 こんなに派手に燃えてるんだから、池の水をバケツリレーしたところで消せるわけないじゃん。


 馬鹿なのかな?


「なにしてるんですか」


「おっ、おかえり」


 琴葉が漸く戻ってきた。


「無駄な消火活動を見守ってた」


「あー……たしかにあれは無駄でしかないですね」


 笑っちゃうよね。


 必死すぎて。


「あのぉ」


「あっ、さっきぶりです」


 女性悪霊登場。


「そろそろ暴れてもよろしいでしょうか?」


「うん。いいよね、琴葉」


「はい」


 蔵のお札は剥がしているし、池を囲っていたしめ縄はぶった切ってある。


 つまり。


 村中に悪霊がわんさかいるってこと!


 イェイ。


「んじゃあ、暴れますか!」


「はい」


 気づけば女性悪霊の後ろには大量の悪霊が並んでいた。


 ヤンキーの総長みたいな立ち位置なんか、あんたは。


「行くぞー、琴葉」


「はい!」


 悪霊の手を借りれば狩りが楽になる。


 手ごたえはないけど、楽しむには十分すぎる。


 私たちは笑みを浮かべながら、汗水たらして消火活動をしている馬鹿どもに襲い掛かった。


**

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