余談
余談だが。
「湯川君の一つ前の進路指導の子、大変だったのよ。大変な音痴なのに『俺はスターになる!ビックになってやる!俳優だ!いやいや、アイドルだ!』とか言い出して。素直に進学しなさいと何度も言ったけど聞く耳持たなくて苦労したわ」
と担任が鼻息荒く話していた。
そんな将来スター希望の彼だが。
休憩時間の現在、俺の前の席で一心不乱に裁縫道具を机の上に取り出し、裁縫に没頭中。
え、何で?と思っていたら、将来『スター達舞台俳優達等の衣装を制作する』ことを仕事にする、そう言う夢を追い求める事に決めたのだそうだ。
「よくよく考えたら俺、スターよりも彼等が着る衣装に憧れていてさ。格好いい衣装とか綺麗な衣装とか着たいって思っていた。でもさ、着るだけなら誰でも出来るけど、作る方は誰でもでは出来ない。そう思ったら自分の手で作りたいって思って。それなら今からなら遅いかも知れないけど、担任が紹介してくれた被服関係の方向に進もうかなって」
担任と話しているうちに将来の方向性が見えたとか。
…僕との手抜き感が凄いが、成程どうして結構良い担任のようだ。よく人の話を聞いてくれるし。何度も言うが僕との事は帆貴さんが居るためか、手抜きされているけど。
尚、副担任は三者面談が終わってから数日後、どんどんと顔色が悪くなっていって最近では別の人が臨時の副担になり、姿を消した。裏では色々と噂が出ていたが、学校側が「体調が悪くなり~」とお決まりの事柄で事を締めてしまった。
そんな中で担任が帆貴さんにこっそり、
「学校中のαの男子学生にハニートラップを仕掛けようとして返り討ちにあったのですよ。うふふ、自業自得です。今頃は七桁の損害賠償支払いの為、某お水やら石鹸やらの場所で必死に稼いでいますよ」
元々学校に内緒でお水の世界で働いても居たそうで。今回の騒動でもう二度と教育者に復帰は無理だろうとの事。
内緒ですよ?と、ニンマリ笑っていたのでそう言うことなのだろう。
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