漁村にて

夏の終わりの漁村にて

海は日の出に照らされる

冷たいほどの朝靄は

潮を纏って輝いていた


筏の浮かぶ沖合で

波は静かに揺れていた

牡蠣の死骸を手に取った

漁師は日差しに目を伏せた


山が死んだら川が死ぬ

川が死んだら海が死ぬ

海が死んだら俺が死ぬ

これが海

今の海

漁師はそう呟いた


筏の浮かぶ沖合が

ひどく静かで穏やかだった







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【詩集】ありきたりな夕焼け ヶ浦 @oaiso

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