塞がれた天窓

昔から天窓に憧れていた。

だから自分の家を建てたとき天窓をつけた。

2階の角部屋、1メートル四方の天窓。

朝はそこから太陽の光が差し込み、夜は星空が見える。

そんな生活を想像していた。


新築の我が家に引っ越してすぐ、私はある不可解な事象に悩まされていた。

例の天窓に人の手型のような汚れがつくのだ。

人の手型の「ような」の形容したのは、その手型は確かに人間の手の形をしているが、大きさがほぼ窓と変わらないくらい、つまり手型の中指の先端から手のひらの付け根辺りまでが1メートルほどあるためだ。

この手型は引っ越したその日に既に天窓についていて、布で拭くと簡単に取れた。

しかし、次の日また手型がついていた。

窓の外側、つまり屋根側から付けられている。

暫くのうちは見つける度に根気よく掃除して拭き取っていたが、何度掃除してもつくので諦めた。

何の変哲もない土地の新築物件になぜこんなことが起こるのか、お祓いを頼んだり、お札をはったり色々試してみたが、解決しなかった。


理想の天窓だったが、気持ちが悪いので外から板で打ち付けて塞いでしまった。

2階の角部屋は物置部屋になり、滅多に入ることは無くなった。

時折、部屋に入ってあの天窓を懐中電灯で照らしてみると、いくつもの重なった大きな手型が見える。

板で塞ぐ前、綺麗に磨き上げた天窓は手型まみれになってしまった。

そして手型は今も増え続けている。

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九坂 @9saka

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