第6話
京は死神の質問に対し、最後まで残ることができた。はじめは500人程人がいたが、残ったのは約200人。ドクロ顔の死神は、プレイヤーたちに地図を見せながらヨミガエリレイスの説明を始める。
ドクロ顔の死神
「この地図は今我々がいる生と死の狭間のものだ。そしてここ」
死神が地図の下側にある、赤い矢印のところを指さす。
「この赤い矢印が今、我々がいるところだ」
「ここからスタートし、森林を抜け、そして塔を抜けて……」
死神の言葉に沿って赤い矢印が地図上を動いていく。どうやら順序を見せているようだ。
「そして最後はここ」
矢印は地図の真上にある階段の頂点へ留まる。
階段の上は光り輝いている。
「ここがゴール」
「ここに一番目に到着したものが、この世にヨミガエリを果たすことができる」
「つまり、ヨミガエリレイスとはこのゴールまで競い合うもの。そして一番目にゴールしたものが勝者となる」
「シンプルでわかりやすいだろう? 特に明確なルールなどは無い。単純にこのゴールまで目指せばよいのだ」
「しかし、このゴールまではあらゆる障害や仕掛けが存在する」
「それを乗り越え、勝ち進むことで、やっとこのゴールにたどり着ける」
京
(……つまりこれは障害物競争をやらされるということか)
ドクロ顔の死神
「しかしなあ…それだけでは面白くない。ただ単に速さを競うだけでは何も面白味が無い」
「そこでプレイヤーの諸君には知恵と勇気をフル活用してもらうためにもう一つ面白いルールを設けた」
「諸君がここに来るまで死神からもらった球があるだろう?」
京
「球……これか?」
ここに来るまでの間にイズから受け取った虹色の球を取り出す。
ドクロ顔の死神
「諸君が持っているその虹色の球はこのゲームを大きく左右するものと言っても過言ではない」
「それは諸君らのプレイヤーの魂そのもの」
京
「魂……?」
ドクロ顔の死神
「その球は貴方そのものを表す鏡のようなもの。具体的にはその球はが貴方に能力をもたらす」
虹色の球が一斉に光りだし、京をはじめとするプレイヤーたちが次々とその虹色の球の光に包まれていく!
京
「なんだこれは!?」
京の脳裏に走馬灯のようにいくつか記憶が映し出される。そして最後には殺人鬼に発砲されるところが脳裏に映る!
気が付けば京はクルーズ船の中にいた。地面や壁に血痕がたくさんついている。
京
「なんだこれは……俺は……生き返ったのか…?」
「それとも……夢?」
さらに京は顔を上げ、あたりを見渡すと、
妹の郁美があの殺人鬼に追われていた!
京
「郁!?」
京は殺人鬼に向かって走り出し、タックルをする!
殺人鬼は吹っ飛び、足のバランスを崩して転ぶ!
そして瞬時に立ち上がり、銃を構える……!
京
「うっ…撃たれる!? 何か…何か武器があれば……!」
フィイイイイイン
突如、京の右手に光が灯る……!
京の右手にかぎ爪が装着される!
京は咄嗟の判断でかぎ爪を殺人鬼の銃に斬りかかる!
ガキイイイイイン!!
かぎ爪は銃を弾き、殺人鬼が銃を手放なす!
殺人鬼は、弾かれた銃を取りに走りだす!
それを見た京は殺人鬼にめがけてかぎ爪を振り落とす!
かぎ爪が殺人鬼の背中を切り裂き、殺人鬼はあまりの激痛にうつ伏せに倒れ込む!
殺人鬼
「ぐぎぎ・・・・・」
京は殺人鬼に近づく。
「お前に殺させてたまるか……」
「お前に…殺されてたまるかッ!!」
「俺はお前を倒して必ず生き残るッ!!」
京がそう叫んだ瞬間、突然辺り一帯が真っ黒になる!
そして暗闇の中から死神の声が聞こえてくる…。
「お前には恐怖に抗い、臆せず立ち向かう勇気がある」
「お前に必要な能力…それは死しても抗う心の武器」
フィイイイイイン!!!
京のかぎ爪が光りだす!
かぎ爪に鎖がつけられていく。
京
「……これは」
再び死神の声が聞こえてくる……。
「貴方が今手にしたもの。それは、貴方の武器であり、能力でもある」
「それは貴方の力を最大限に発揮し、ある時は己の身を護り、ある時は敵を倒す武器となる」
「その能力をうまく使い、このゲームに勝ち進むのだ」
「さあその能力を駆使し、勝ち残るがいい」
「行き先は虹色の球が示してくれる。健闘を祈る」
暗闇が徐々に明るみを増していき、
京は気が付けば、先ほどの丘とは別の場所に立っていた。
京
「……ここはどこだ?」
「何が一体どうなってるんだ!?」
フィイイイイイン
京が持っていた虹色の球が光りだす。
京
「なんだこれは……」
虹色の球には赤い矢印が付いていた。
京
「さっき、この球が行き先を示すだのなんだの言ってたな」
「この方向に進めばいいのか?」
虹色の玉が示す方向には森林があった。
京はその方向へ向かって歩き出す……。
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