この物語『カミノクグツ』の最大の魅力は、主人公が直面する不可解な現象と内面的な葛藤にあります。失われた手紙や地図、足跡がない謎、そして自動的に開く門など、ファンタジー要素が現実世界と絡み合いながら、主人公の内面的な探究を深めていくところです。

また、大聖堂の神父から遠く離れた教会の司教へと突然任命された主人公が、その職務を誠実に果たそうとする姿も印象的です。彼が遭遇するオルカとマイアという異なる性格のシスターたちとのやり取りは、人間関係の複雑さと、彼が聖職者としての自己をどのように捉えるかという問題について深く考えさせられます。

主人公が自分の新しい立場に慣れる過程を通じて、彼の信仰と義務感に焦点を当てていて、彼の経験する不可解な現象における心の動きに共感することができました。