第17話

 そして私の給料は10万円から6万円に下がった。

もはや小金持ちの子どものお小遣いレベルという笑える額だ。

なぜかはもうお分かりだろう。

日報をチェックして申請してもらうために4万円払っているのだ。

Kの小銭稼ぎの餌食だ。

その4万円は純粋に私の給料から強制的に支払われた。天引きではなく、あくまで私が10万円もらった後、個人的にK会社に4万円で書類作成を依頼したという形らしい。

私は実家暮らしだったため、家賃はなかったが、交通費と昼食代、パソコンのローンでほぼすべてはなくなった。

 当時はホームページひとつ作るだけで数十万する時代だったので、月に数件の依頼でも二人だけの会社なのでそれなりに蓄えは増えて行っていた。


と、思いきや。


さすが無知な若者の会社である。少し余裕が出てくると将来安泰と思い込んでしまうようなうつけ者。ある日出勤すると同級生宅の前には積載車が。

(あいつ、また事故ったか?)

と思いながら近づいてみると、積載車の影にはギラギラ輝くハーレーダビッドソン。

何が起きた。


ポカーンとそれを眺めていると、奥から同級生がニコニコ参上。


「どう?めっちゃかっこよくない?」

「おお、すげーな。誰のバイク?」

「俺の(笑)」

「えええええ!うそだろ、お母さんにでも買ってもらったのか?」


これも前述したが、同級生の母は離婚しているが、看護師をやっていて高給取り。さらに母の彼氏も医療系の重鎮らしく、なかなか裕福な家庭だ。車も何台も乗り換えているがすべてお母さんに買ってもらっているようなやつだった。


同級生「いや、これ社用車だよ!」

私「は?これバイクだぞ?」

同級生「バイクでも社用車で登録できるんだよ!」


待て待て。この会社は二人だけ、そのうちバイクの免許を持ってるのは同級生だけ。

お前が欲しかったもの買っただけじゃねーか...。


早速ドライブしてくるからお前は仕事してて!と言わんばかりに颯爽とどこかへ走り去って行った。


月収6万円の私は椅子に座り、ホームページ作成の続きを始めるのだった。

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