第4話 中間地点フィルドイースト
船でファイアフィルド大陸に到着した僕たちは港町で一泊、翌日朝からファイアフィルド王都を目指す。
ケインが提案した冒険者も多く危険が少ない街道を行くことで昼前にはファイアフィルド王都との中間地点、地方領主の収めるフィルドイーストの町に到着した。
早速町の酒場で情報を集める。
ケインが気さくに店主に声を掛けた。
「やあ、暑いな。さすがファイアフィルド大陸だ。冷たいお茶を四つ頼むよ。それと何かお勧めのメニューはあるかい?」
店主も気軽に答える。
「この大陸は初めてかい? お茶を四つね。ここは火の加護を受ける大陸だ。ウチの名物は「強火で炒めた炒めご飯」だね。王都の方までいけば「絶品! 鉄板焼き一枚ステーキとかもあるねえ」
「よしじゃあその炒めご飯を四つだ、隊長、お前ら、いいよな?」
僕らは無言で頷く。
「はいよ、揚げ肉も付けてやる。新顔さんにサービスだ。」
「嬉しいね。気前のいい店は繁盛するだろう」
「はっはっは おかげさまでね」
なんてやりとりをする。
「じゃあ料理を作るよ」と調理を始める店主にケインが続ける。
「悪い、店主、あと一つ。最近王都の方で揉め事が起こってる、って話は聞いてるか?」
「ああ、なんかそんな話をチラっとは聞いたが正直詳しくは知らんなあ」
「領主はどうだい? ここの領主は何か知ってそうかい? 会って話は聞けるか?」
「無理だろうなあ…なんかしらんが領主様っていうか町長だけど、最近忙しいみたいだ。
何だかな、…人や仕事が増える、なんて話もあるけど」
「人が増える?」
「ああ、何か物でも作るのか、施設でも建てるのか、まあそんな噂があるな」
「そうなればこの店も繁盛だな」
「ああ、そうなると嬉しいよ、ま、今のままでも十分だけどな」
「景気は悪くなさそうだな」
「港町との中継地点だから、人通りは多いんだ、はいよ、チャーハン、まずは二つ」
「お、美味そうだ、サンキュー」
ケインはそんな会話をしながら簡単な情報集はこれで終わった。
少しして他の品物もテーブルに揃う。炒めご飯四人分と揚げ肉が一人三つづつ。すごくいい匂いだ。
ローナが早速「うわ~ 美味しそう! 早く食べましょ!」と言った。
ケインは「子供には少し量が多いかもな。揚げ肉を貰ってやってもいいぞ」と言う。
「べ、別に大丈夫よこれくらい! ケインは食い意地も張ってるのね」と言い返す。
「冗談だ。本気にするな。子供から食い物を奪う上級調停官が居るか」
そんなケインに僕が言う。
「僕は小柄だからちょっと多いかな、って思ってたんだけど、じゃあいいかな…隊長、揚げ肉を二個、食べます?」
ケインが怒った。
「先に言えこの見習いが。隊長と俺で1個づつだ」
隊長は「要らん。ケインにやれ」とだけ言った。
ローナは飽きれながら「やっぱり食べたいんじゃない」と漏らした。
みんなで料理を食べつつ情報確認する。
僕は聞いてみる。
「隊長が気にしてるファイアフィルドに来る理由の揉め事は店主さんは知らないみたいだね」
「町は町で忙しいみたいだからな」
ケインが「仕事が増えるって言ってましたね」と言うと隊長は返す。
「町の中もせわしない感じだ」
ローナはそんな言葉を聞きながら言う。
「王都の揉め事も知らないとなると、大きな問題じゃないのかしら」
その言葉にケインが言う。
「まあそうかもしれないが情報を出さないようにしてる可能性もある」
僕は「行ってみないと分からないね」と言いローナも頷く。
ケインはご飯を口に運びながら言う。
「まあ、何は無くとも腹ごしらえだ。精を付けて気合入れて仕事するか」
そんな会話をしながらランチタイムが過ぎていった。
料理はすごく美味しくて嬉しかった。
昼食後はすぐに出発してファイアフィルド王都を目指す。
目指す王都までもう少しだ。
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