第4話 オークション開催
「考えといてあれだけど……」
「まあ、言いたいことは分かるけど、しょうがないよね」
「……だな」
想太と朝香は奴隷狩りをしていた連中を送り込んだ先で行われた結果を目の当たりにして少しだけ後悔した。
「凄いな。ここまでされてもまだ意識を保てるんだね」
「だって画鋲だもの。針の長さなんて一センチくらいでしょ。それに針自体も細いから出血も少ないし出血多量で死ぬこともないからって採用したんでしょ?」
「そうなんだけどさ。後から考えたら結構エグいのかなって思ったんだよね。ほら、この人なんてもう隙間もないくらいだよ」
「それだけ恨まれているんでしょ。それよりもほら、最後の仕上げがあるんだから」
「まあ、そうだよな……ふぅ~でもなぁ~」
「なぁに? やっぱり怯んじゃう?」
「そりゃあな。実際に俺が直接被害に遭ったわけじゃないからな」
「なら、ここにいる人達にやってもらう?」
「……」
「何よ。ハッキリしないわね。じゃあさ、試しに一人任せてみたら。ここの人達だって画鋲刺して満足した人もいるかもしれないけど、それ以上に抱えている人だっているでしょうから」
「そっか。そうだよね。俺が手を汚せばいいかと思っていたけど、実際に被害に遭ったのはここにいる人達だもんね」
「想太のことだから、あの人達の手を汚させることを考えて、『なら自分が』とか思っていたんでしょ。そういうのも想太の優しさだと思うけど、任せられるところは任せた方がいいと思うよ」
「朝香……」
「じゃ、そういう訳で希望者を募ってみましょう!」
「そうだな」
想太は朝香が言ったことを素直に受け取ると、元奴隷だった人達に話しかける。
「は~い、皆さ~ん! 聞いて下さ~い!」
「こっちを見てね!」
想太と朝香が元奴隷の人達に声を掛けると、皆が二人に注目する。
「なんだ?」
「もう、いいから放っといて欲しいんだけど……」
「でも、なんだかスッキリしないし……」
皆は色々と思うことがあるようだが、想太と朝香が何をするのかと気になり、言われたように二人の方を注目する。
「じゃ、二号から二十号までお願いね」
「「「はい、リーダー!」」」
「それじゃ、アサカ二号から二十号もお願いね」
「「「はい、リーダー!」」」
想太と朝香はコピー達にあるお願いをすると、コピー達は指示通りに動き出す。
「では、一番
「はい!」
ソウタ二号が一番画鋲が少なかった奴隷狩りの男を想太が用意した壇上へと上げると元奴隷の人達に向かって説明する。
「はい。今から何をするのかと気になっているでしょうから、今から説明しますね」
想太は壇上からこれからすることを説明する。
「今から、復讐オークションを開催します! 参加出来るのは一人一殺のみ。但し、複数で一人を共有することも可です。その場合も一殺でカウントされるので、そこは注意して下さいね。では、ここまでで質問はありますか?」
「「「……」」」
「ないですか? ないなら「あの……」はい、なんですか?」
「えっとですね。その方法についてなんですけど……」
「あ~そうでしたね。その方法についてはなるべく残虐なことは控えて欲しいと思います。いくら奴隷狩りが憎いと言ってもここにはたくさんの人がいるのですから。人の目があると言うことを理解して下さい」
「ならどうやって?」
「そうですね。ここは単純に一突きとしましょうか」
「「「え?」」」
「それって一回しか刺せないってこと?」
「基本はそうですが、オークションの結果が一人だけなら、何回刺すかはその人にお任せします」
「「「……」」」
想太は壇上から皆の様子を見て、誰も質問してこないことを確認すると「では、復讐オークションを開始します!」と声も高らかに宣言すると、誰も手を挙げなかった。
「あれ? いいんですか?」
その様子を見ていた奴隷狩りの男はホッとするが、想太は壇上から元奴隷の一人が手を挙げるのが見えた。
「あの、質問してもいいですか?」
「どうぞ」
「今の様にオークションが成立しなかった場合は、その人はどうなるんでしょうか?」
「ご安心下さい。その場合はこちらで責任を持って処分させて頂きますので」
「えっと、具体的には?」
「それは言えません。ですが、このまま野に放ちまた奴隷狩りをされてもイヤなのと、
「分かりました」
「では、続けて……」
想太の説明を受けて質問をした元奴隷は納得した様子だが、納得出来ないのは壇上で助かったと思っていた奴隷狩りの男だ。
「じゃ、次の人に上がってもらって」
「フガ……モガ……」
二号達に壇上の男を引き渡そうとしたところで、どうしても納得出来ないと男が騒ぐが猿轡をしているせいで、その思いが想太に伝わることはないのだが、想太はその男を優しく見詰めると「ちゃんと罪を償おうね」と優しく声を掛ける。
男はその言葉の意味を理解した。これはどうやっても自分が助かる目がないということを。せめて痛くなければいいなと願うが、自分がしてきたことを思い出し、それも無理かと諦めるのだった。
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