第47話 男と言う生き物

「そう言えば自己紹介がまだでしたね」


 と言って、仲裁に入ってくれた長い赤髪が靡く身長の高い剣士の人から自己紹介が始まった。


「私の名前はセラビーア、見ての通り剣士です。」


「ボクはメドネス。魔法使い」


 金髪細目で身長が低い。


「……トレア、治癒魔法使い」


 中々目を合わせてくれないな。紫の髪がきれいだ。


「私はジャーナ。君たちの名前は?」


 最後に水色の髪をした弓と剣を装備した人が答えた。


 本当に女性だけなんだな。


「俺はセイヤ」

「俺はトモヤ」

「「パーティー名はまだない」」


 まさかのハモリでびっくりした。


 するとジャーナさんが笑って


「君たち面白いね」


 と言ってくれた。嬉しい。


 「それで」と、セラビーアさんが聞いてきた。


「どうされるんですか?アースベア討伐の依頼は」


 正直悩ましいところだ。


 ランクを少しでも早く上げるには、高難易度の依頼を受けたほうがいい。


 だが、連携が肝となるこの依頼、【ゴッドドラゴンブレス(笑)】とはあまり仲は良くない。


 ここはやめといたほうがいいか?


「やめといたほうがよくないか?」

「それは俺もそう思うんだが、ただなぁ。引っかかる部分があるんだよ」

「引っかかる部分?」

「あぁ、俺達のことを目の敵にしているくせに依頼に誘ってくるってのが少し妙なんだよな」


 確かにそれもそうだ。


 しかもあいつらの性格上、単独で討伐する!とか言いかねないんだが。


「もしかしたら俺達を嵌める気なのかもな」

「あー罠とか隙をついて殺す的な?」

「そうそう、あの単細胞馬鹿どもなら考えそうだけど」

「確かに。依頼の難易度も中々に高いし、アースグリズリーにやられましたって報告しても俺らDランクなら違和感ないもんな」


「「よし、やめとくか!」」


 そうだ。こういう絶対に問題になりそうな案件は身を引くのが一番だ。


「あのー、すみませんがお断りさせていただきます。」


 そう言うと、顔が少し暗くなった。


「そうですか、一緒に居てくださると心強いのですが……」


 うぉ、心苦しい。


 なぜ人は、というか男は、美人の顔に弱いのだろうか。


 その顔でもう一回お願いされたりでもしたら、顔を縦に振る自信がある。


「できれば一緒に居てほしいんだけど、無理かな……?」


 上目遣いは強いぞこれ。


 ちらっとセイヤを見る。


 美人に負けそうになりながらも、なんとか耐えてる様子だ。


 俺はセイヤの発言を待っていた。


「どうして俺達がいたほうが助かるんですかね。つい最近Dランクに上がった駆け出しですよ?」


 どうやら絞り出たようだ。


 そういうと、全員が神妙な顔をした。


「その、聞いちゃったんだ。【ゴッドドラゴンブレス】の話。ね?メドネス」


「うん。どうやら【ゴッドドラゴンブレス】はボクたちをなぶりものにしたいみたい」


 殺すか。

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