第11話 パリティとの特訓
「アピスさん!?」
「あはは。どうもジャンヌ・ダルクさん。僕も特訓をすることになりました。」
どうして彼も特訓に参加するのか。その説明は代わりにパリティが説明した。
「
アピスは自分の背筋を伸ばし、パリティに一礼した。
「改めて、これからよろしくお願いします。」
「はいはーいん。これからよろしくねん!」
一礼した後、アピスはジャンヌの方を向いた。
「一緒に頑張りましょう!」
「ッ!はい!」
「それじゃ、早速特訓を始めるよん!」
パリティが二人に言うと、そのまま特訓の説明を始めた。
「そうだねぇん。まずは二人とも、光で球体を作ってみて!」
ジャンヌとアピスは光技を使用し、球体の光を作った。もちろん、頭の中で球体の形をイメージして。
「オッケー。それじゃ次はその球体が棒になるイメージを考えて、球体の光から棒状の光に変えれることはできるかなん?」
「な、なるほど…。」
まずはアピスが試す。頭の中で、球体が棒状に変わるイメージを浮かべながら、光技を使用して、球体の光を棒状へ変化させる。
アピスは汗を流した。一見簡単そうに見えるが想像以上難しく、結果は失敗だった。
ジャンヌも試してみたが、同じ結果だった。
「案外、難しいですね。」
「光技の難しいところはイメージを作ることと光を操ること、この二つに集中しなきゃいけない。自分を集中させる方法はいろいろあるよん。目を閉じたり、深呼吸したり、そうだなぁん。好きな音楽を聴いたり?」
ジャンヌは目を閉じ、アピスは深呼吸をする。そして、球体の光を作成した。
もう一度、二人はイメージする。光の球体が棒状へと変化する様を。二人は手にぐっと力を入れる。
そして、
シュシュシュッ
『ッ!?』
ジャンヌの掌にある球体の光は、少しずつ伸びていく。
「おぉ。」
「ジャンヌさん!すごいです!」
アピスが賞賛した。ジャンヌは心の中でガッツポーズをした。
「せ、成功しました!パリティさん!」
「おめでとうジャンヌん。思ったより飲み込みが早くてびっくりしたよん。だけど、一回だけじゃなくて、何回も作ってみてん。アピスくんも出来たら同じように。」
『はい!』
それからジャンヌは4回ほど光の棒を作成した。そのうちに、
「で、出来ました!」
アピスもやっと成功した。
「オーケーん!それじゃ、アピスくんはジャンヌと同じように、数回ほどやってみてん。それが終わった後、突然だけど、実技を始めるよん!」
『実技?』
「光技を使用しながら戦う!光技を使うと自分の中のエネルギーも消費するし、動くことで体力も持っていかれる!でも、ミカエル様のシュヴァゴーレのおかげでそれらが強化されてるのは覚えてるねん?それを存分に活用して、三分間、組み手を行ってもらうよん!」
ここは前回、ミカエルのトレーニングの一つ、素振りを行った場所だ。周りには他の騎士天使たちも特訓をしていた。
ジャンヌと二人は位置につき、向かい合うように立っていた。
二人は光技で棒を作成する。棒の作成を二人は完全にモノにした。すると、
「ただの組み手じゃないよん。光技の特訓だからね。ここで君たちに課題を出すよん!それは、棒を様々な形状に変えながら戦うことを意識するんだよん。」
「形状を変えながら?」
「そう。騎士天使の中には、悪魔との戦闘中に光を棒状から剣の形に変えたり、如意棒みたいに伸ばして戦ったりエトセトラ、光技を巧みに扱いながら戦う騎士天使は多くいるん。」
パリティは身振り手振りで説明を続けた。
「制限時間は2分。最初の一分間は光の棒を使用して普通の組み手、もう一分間は棒を色々な形状に変えてみてねん。剣だったりハンマーだったりねん。もしイメージが成功すれば、レーザービームだって出ちゃうかもねん!」
「ビーム…!テンションが上がる言葉ですね!」
アピスはビームという言葉を聞いて少し鼻息が荒くなる。
「それじゃ、早速始めるよん!二人とも構えて!」
ジャンヌとアピスはいつでも戦闘できる体勢を作った。三秒が経った。
「はじめ!」
パリティの一声と共に、先に踏み込んだのはアピスだった。彼は光の棒をぶんとジャンヌに向けて振るう。
(早い…!)
カンッという音が響く。アピスの攻撃をジャンヌは光の棒で防ぐ。棒を両手に持ち、グッとアピスに体当たりし、その直後に棒を振り落とした。
回避。そして背後に回り込み突きを放ち続けるアピス。一撃をもらったジャンヌは体勢を崩す。その隙にもう一度アピスが彼女の腹部に突きを入れる。
「かっ!」
ジャンヌは痛みに耐えながらも、また突きを繰り出そうとするアピスに向けて棒を弾く。踏み込み、ダッとアピスの腹部まで近づき、棒を叩き込む、はずだった。
アピスは瞬時にそれを避けた。だが、彼も油断をする。
「ッ!」
ジャンヌは棒でアピスの足をつまづかせていた。これにより、アピスは足を掬われ、そのままジャンヌの攻撃をモロに喰らった。だが、アピスは続けて攻撃を繰り出そうとするジャンヌに突きを入れた。防御されて威力は落ちたが、衝撃でジャンヌは後ろに下がる。チャンスだと感じたアピスは踏み込みを入れて、そのままジャンヌに突きを続けた。
「はぁ…はぁ…。」
ジャンヌはこの猛攻を防ぐか避けるかの二択しかなかった。
「ジャンヌさん。僕は光技は上手く扱えませんが…武器の扱いなら自信があります!特に、槍が!」
アピスはその言葉と共に、最後に強力な突きを浴びせる。
「ッ!!」
ジャンヌは胸にその突きを喰らった。あと少しで壁に衝突するほどの威力だったが、彼女は棒を床に突いたことで足が止まり、衝突を逃れた。
「貴女が剣術を使うなら、僕は
ジャンヌは息を整え、構え直す。
(シュヴァゴーレのおかげで疲れは出ない。だけど、攻撃の連鎖が続いて息が持たない…。)
その時だった。
「一分が立ったよん!ここからは、光技を使って光の形状を変えながら戦うんだよん!」
「形状…か。あまり変わらないですけど…!」
アピスは目を閉じて棒を回す。すると、光の粒子がどんどん溢れ始めて、
「こうした方が、イメージが湧きやすい!」
棒の先端は次第に鋭利な形に変形する。形状は彼が得意とする槍そのものだ。刹那、アピスが踏み込みを見せる。
「ッ!」
槍の一振りを間一髪で回避し、深呼吸をするジャンヌ。目を閉じ、棒を持つ手に力を入れた。棒は少しずつだが、形が変わっていく。
「はぁ!!」
アピスの突きがジャンヌを襲う。腹部に命中し、床に激突する。すぐに立ち上がり、彼が持っている槍に蹴りを数発入れたあと、ジャンヌはバックジャンプをする。
そして彼女は、光技で棒状の光を剣の形に変えた。
今度はジャンヌが攻撃を仕掛ける。アピスは体に剣先が命中する前に、剣を弾く。だが彼女の攻撃は続く。槍と剣の攻防戦が始まった。金属音が響く数秒間、残り時間は三十秒。
カンッ
「はっ!」
「貰ったぁ!」
攻防戦はアピスの槍が勝利し、ジャンヌは力に押し負けて剣を落とす。そして彼女に向けて繰り出される突き。だが、フッとジャンヌは回避し、アピスの背後に回り込んだ。
ジャンヌはもう一度光技を使用して棒を作成し、攻撃を繰り出そうとしたが、
ブオンッという音と共に、ジャンヌの体は気づいたら壁の方へ飛んでいた。
「ッ!?」
何が起こったのか分からなかった為、壁に激突した直後にアピスの方を見る。
彼の持つ槍の
「如意棒をイメージしました。変な話、槍と如意棒を合わせたら、かっこよくないですか?」
彼はジャンヌが背後を取るのを予測して、槍の柄の部分を如意棒のように勢いよく伸ばし、彼女の腹部に突きを入れたらしい。
「少しづつですが、僕はイメージができるようになったような気がします!」
アピスは槍の穂の部分を伸ばしてみせ、槍を振り回した。ジャンヌは少しづつ立ち上がり、深呼吸をする。そして自分の頬を叩いた。攻撃の準備はとっくに出来ていたが、
「タイムアップん!!」
ピピーッという笛の音と共に、パリティの声が聞こえた。
「そこまで、組み手は終わりだよん。」
「え…。もうちょっと戦えたんですけど…。」
「だってもうすぐお昼時だよん。休憩タイム。光技を操るためのエネルギーを貯めるには休憩も必要なのだよん!」
ジャンヌとアピスは休憩室の椅子に座っていた。アピスがコップに入った飲み物を口にしようとすると、
「アピスさん。貴方は光技関係なく、物凄く強くないですか?」
彼女が問う。
「そう言われると少し照れますね。自分で言うのもアレですが、僕は武器の扱いには凄く自信があります。ジャンヌさんもいい動きをしていましたよ。」
「あ、ありがとうございます。武器の指導は誰から教わったんですか?」
「僕だ。」
ジャンヌでもアピスでもない声が聞こえた。声のする方を見ると、後ろにはヴァーチが立っていた。
「ヴァーチさん!?」
「あ、先輩!お疲れ様です!」
アピスは嬉しそうな顔をしてヴァーチに挨拶した。
「二人ともご苦労さん。そうだ。休憩終わりの訓練の時にパリティに伝えておいてくれ。借した漫画を早く返せってな。」
「漫画、ですか?」
「忙しいのか知らんが、半年返ってきていない。」
「えぇ…」
すると、ジャンヌはふとヴァーチに聞いてみたくなった。
「そういえば、アピスさんの師匠はヴァーチさんなんですか?武器の指導を教えてくれたって言ってましたけど。」
「それは…」
その時、アピスが立ち上がり、誇らしげにヴァーチとの出会いを語った。
「僕が悪魔に襲われてピンチだった時に駆けつけてくれたのがヴァーチ先輩なんです!その時の僕はへっぽこで、光技以外に武術も武器の扱いもダメダメだったから、ヴァーチさんに憧れて弟子入りさせて貰ったんですよ!」
「なるほど!素敵ですね!」
ヴァーチはジトっとした目でアピスを見る。
「こいつは毎回その話をするときは自信満々に話すんだ。若干恥ずかしいんだがな。」
「あはは…」
それから三人はしばらく談笑した後、ヴァーチがある話題を二人に振る。
「二人とも。光技は上手く使えるようになれそうか?」
「そうですね…。棒の形から剣に変化させることは成功したのですが、なんかしっくりこないと言うか…。」
アピスもその問いに答える。
「僕も、槍以外はまだまだです。」
「槍は生成しやすい。だが、他の形には出来ないか?」
「難しいですね。」
ヴァーチは数秒間考え込み、そして、
「まずアピス。槍以外の形が生成しにくかったらお前が今背負っている槍を使えれば良い。だが、その槍に一手間を加えるんだ。」
「一手間?」
すると、ヴァーチは立ち上がり、背中にあるエクリッツを引き抜き、二人に見せる。
「例えばエクリッツは至宝剣と言われてるが、電気、雷を操る能力がなければただの大剣だ。だが、能力があるからこそ、至宝剣としての力を十分に発揮できる。パリティにレーザービームが撃てるかもと言われたか?」
アピスが頷く。
「槍から光線を放ったり、何か目眩しになるものを放ったりなどの使い方もありだと思うぞ。もし、武器の生成に手こずるなら、この方法を試すんだ。」
「はい!ありがとうございます!!」
「そんで次はジャンヌ。」
ジャンヌは少しだけ緊張し、唾を飲み込む。
「剣を生成した時にしっくり来ないと言っていたな。それなら、剣以外の武器を作るのが一番だろう。」
「剣以外の武器、ですか…。」
「そうだな。他の天使がどんな武器を使っているかを見学してみるのはどうだ?」
「なるほど!」
数分後、パリティの特訓が始まるまで後三十分、ジャンヌは宮殿中を歩き回っていた。ヴァーチに言われた通り、特訓している天使たちがどのような武器を生成しているのかを見学するためだ。
今の所、剣、槍、銃、弓矢などがあった。ジャンヌは今まで見た武器をメモしているが、圧倒的に剣と槍がダントツで多い。
(弓矢は候補に入れておこう。私には遠距離攻撃の種類が少なすぎる。)
その時だった。
カンッ カツンッ
光技でどんな武器を生成しようか迷っている時だった。通り過ぎていった部屋の中から何かを弾く音が聞こえた。好奇心がジャンヌを無意識にその部屋へ誘導させる。そして、
「ッ!」
そこには、光技で盾を生成し、周囲にいる騎士天使たちの攻撃を全て弾いているケルヴィの姿があった。盾は両腕に二つ。彼に襲いくる無数の光の玉による攻撃は全て盾によって防がれていた。
それを見ていたジャンヌは思わずその光景を見ていた。良いものをみつけたように、ジャンヌは笑っていた。
(これだ!)
「二分経ちました!小休憩です!」
騎士天使の一人が言うと、その場にいた騎士天使たちは武器をしまう。ケルヴィは深呼吸をして、水分補給を行おうとした時、
「ジャンヌ?」
ケルヴィはジャンヌを見つけた。
「休憩中に失礼します。その、ケルヴィさんにお願いしたいことがあって…。」
彼女はそのままここに来た経緯を話した。
「なるほど。盾が性に合っていると思ったんだな。それで、お願いってなんだ?」
「はい!私に盾の扱い方を教えてもらえませんか!?」
「それは構わないが、タイミング合う日はなさそうだぞ?お前、パリティの特訓もあるんじゃないか?」
「えっと、パリティさんの特訓が終わった後でもよろしいですか!?」
「うーんそう来たか。わかった。俺からパリティに伝えておく。行けるタイミングを話し合うぞ。」
「わぁ!ありがとうございます。」
次の日、今回のパリティによる訓練は自身の装備を時間をかけずに身につける光技を習得する日だった。
「これは秘密兵器だよん!二人とも、鎧や武器を持ち運ぶ時はこれに入れてねん!私からのプレゼントだよん!」
パリティが満足そうに見せたそれは、手のひらサイズの小さな箱だった。あまりにも
「えっと、箱?」
「アメリカの天使が最近発明した超便利品!“ミニメルボックス”。500kgまでの物をなんでも収納しちゃうんだよん!どういう原理なのかは「機密❤︎」って取扱説明書に書いてあったよん。」
「すごい!日本の猫型ロボットがつけてるポケットみたいですね!」
「その表現ちょっと危ないねん!まぁ、このボックスの中にはん…」
パリティはボックスを開くと、そこに掌をかざす。その掌から光が溢れ出す。
「光技?」
その時、パリティは掌を上に挙げた。ボックスからジャンヌが着る予定の鎧が飛び出した。
「ッ!」
だが、鎧はぷかぷかと浮いている。ジャンヌは目を凝らすと、鎧は薄い白い靄の上に乗っていたのに気づく。パリティは腕を横に振ると、鎧は彼女の体に近づき、やがて彼女は何も手をつけず、全ての鎧を光技だけで身につけて見せた。
「ジャンヌにはこれを習得してもらうよん!」
「すごい…!でも結構難しいんじゃ…」
「このボックス万能なことに、物を浮かせる光まで埋め込まれているんだん!あとは物を操るだけでOKん!じゃ、やってみてん!」
パリティは光技で鎧を一瞬で脱ぎ、鎧はボックスの中へ引き摺り込まれた。
言われた通り、ジャンヌはボックスを手に取り、蓋を開け、掌に力を入れてかざす。すると、
バコンッ!!!
「ガッハァッ!!!!」
ボックスから鎧が勢いよく飛び出し、一つ一つの部分はジャンヌの顔、腹部、下半身に激突した。彼女はそのままぶっ飛んだ。
「ジャンヌさん!?パリティさんこれ不良品じゃないですよね!!?」
「手に力を入れすぎたんだよん!もう少し優しく!」
それからだった。無事にジャンヌ(鼻に絆創膏を貼った)とアピスはミニメルボックスの扱い方を完全に物にし、通話機能を持つ光技、“悟り”も習得した。
パリティの特訓が終わったあと、ジャンヌはケルヴィとの戦闘訓練に勤しんでいた。
「どうした!まだ三十秒だぞ!」
上位天使四人衆の一人。その肩書きは伊達ではない。彼の繰り出す打撃一つ一つに早さと重みがある。回避することは可能だ。だが、回避した後に攻撃を喰らうこともある。数十秒後、
「時間です!」
訓練の時間を測っていた騎士天使の一人が言う。ケルヴィとジャンヌは定位置に戻り、礼をした。直後、ジャンヌはかつてないほどの疲労と息苦しさが襲いかかった。
ミカエルのシュヴァゴーレが効いているのかわからないほどに。
(悪魔と戦った方がマシなぐらいしんどい…!)
「大丈夫か?」
見上げると、彼女に飲み物を渡そうとしているケルヴィの姿があった。
「あり…ありがとう…ございます…!」
受け取った飲み物をぐびぐび飲み、ほっとジャンヌは息を吐いた。
「すまない。きつくしすぎたな。今日はもうここまでにしよう。」
「いえ…まだまだ…」
「休むのも仕事だ。明日また稽古してやるから。そうだな…。」
ケルヴィがジャンヌの隣に座り、掌を壁側に突き出す。そこへ光の粒子が集まっていき、
「それは…!」
光技を使用して生成したのは、盾だった。
「ジャンヌ。お前は今でも十分強い。だが、もっと強くなりたいか。」
その問いはもちろんYESだ。ジャンヌは自信をもって頷く。
「よし。なら、俺の盾の能力と技を教える。明日からは戦闘訓練プラス盾の訓練だ。お前がどれだけ俺について来れるかを見せてほしい。」
そう言ったケルヴィの表情は、たくましく、何より優しかった。
「…光栄です!それで強くなれるなら、私は喜んでついていきます!!」
四人衆から直々に特訓を受けるのは、フランスに行く前のセラフ以来だ。ジャンヌも嬉しく思い、彼に笑顔を見せた。
「明日か明後日ですね。行うとしたら。あと少しで全ての準備が整います。」
赤い壁に阻まれ、ぶくぶく溢れる大量の泡と魚のような何かが周囲に大量にあるこの空間は海中を思わせる。そこに、一人の修道女の服を着た女の悪魔。エストリエがいた。
彼女は“嫉妬のギガス”を手に取り、ページを一枚ずつめくる。
「世界は滅ぼせませんが、これほど強力な魔法を扱えるなんて…。あぁ。」
そして、エストリエの背後に現れたのは三体の悪魔だった。
「アナタ達も、協力してくださり、誠に感謝申し上げます。」
エストリエが不気味に笑うと三体の悪魔達は次々に喋り出す。
「ニンゲン!!テンシ!!ミンナミンナコロセル!!」
「黙れ五月蝿い消え失せろテメェは。エストリエ様の前だろうが。」
「心臓。臓物。ウフフ。ウフ。ウフフフフフフフ。」
エストリエは優しく手を叩くと。悪魔達は口を閉じた。
「はいはい。皆さん元気で羨ましいですわ。えーっと、マモン様によると、最低でも天使の翼と心臓は合計200…それから人間の心臓もできるだけ多く…。なるほど。」
エストリエはギガスを閉じた。その時、彼女の周囲に四つの赤い丸の物体が出現する。そこから目、口、鼻が形成され、四つの球体に顔が出来上がり、それらは気味が悪いほど口角を釣り上げ、けたたましい笑い声を上げた。
「ぎゃあっははははっははははっははははっははァ!!!!!!」
「あぁ。なんて素敵な響きなの。久しぶりの天使狩り。まずは、この子の所へ行かなければなりませんね。」
エストリエが手に取ったのは、一枚の写真。
そこには、ルネの姿が映っていた。
あとがき
漫画とかの〜編とかが好きです。
なのでここからはメルカバー、天使狩り編が始まります。
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