白い羽を持つ少女と、少年・拓馬。
あまりに脆くあまりに短いふたりの時間。
砕け散る運命だと知りながら、互いへと手を伸ばしてしまう。
そして物語は加速を始めます。
拓馬の心に猶予はありません。
守りたい願い。
けれど時間はあまりにも無情。
彼の内側で正義と弱さが激しく火花を散らし、境界線は瞬く間に溶けて消える。
少女の無垢な願いを守りたい。
その想いが強いほど、破滅への速度は増していきます。
この息の詰まるようなストーリーテリング。
終わりに向かって突き進む者の、悲しい煌めきです。
物語は止まりません。
二人が築いた束の間の世界は、あっけなく崩れ去っていきます。
その破片が、読む者の胸に突き刺さります。
愛とは何か、裏切りとは何か。
読み手は答えを探す暇さえ与えられません。
人の弱さが生むかすかな光を、その一瞬の輝きだけを、私たちは見つめるのです。
物語は定められた終着点へと駆け抜けます。
愛が儚いからこそ、その一瞬の輝きは心に焼き付きます。
燃え尽きた哀しみのあとに残る、淡い光の残像。
一瞬で消え去った光は、永遠に忘れられません。
限られた時間の中を、答えなどないまま、それでも走り続けた魂の軌跡。
その姿に、あなたは何を思うでしょうか。
その一瞬の閃光をぜひ、ご自身の目で見届けてください。