試食会

 今日は予定通り才川さんとかなちゃんを呼んで試食会。クレープやポップコーンは機械が無くても作れるのでいろいろ試してみることに。


 今日する事としては、クレープの生地に生クリームとそれに合うポップコーン

の味付け決めとアレンジかな。みんなはそれぞれ入れたい物を用意してくれたみたいで事前に買い出しに行かなくても大丈夫そうで安心。


「美波ちゃん、私生地作ってるからみんなでポップコーン作ってて」

「わかった由香里、クレープの生地はひっくり返すの難しいから焦って火傷とかしないようにね?」


「うん!火傷したら美波ちゃんに舐めてもらうから」

「うんまぁ、わかったけどくれぐれも気を付けてね」


 生地を準備している由香里とそんな会話をし、カウンターの席に座る二人を見やると二人ともにやにやとしていた。何か楽しいことでもあっただろうか?


「どうしたの?二人とも」

「うーん、相沢さんと小泉さんって改めてお似合いだなって思ってね」


「わかる~、小泉も学校で私たちと接してる時と相沢ちゃんと話してる時の雰囲気全然違うし、幸せそうだなって見てて思うよ」


「そうかな?私と由香里はいつもこんな感じだけど…」


 私は普段通り由香里と話しているはずなのに、傍から見ればイチャイチャでもしていると思われているのかもしれない。いやまぁ、実際私と由香里の関係は人には言えないような事を毎日してはいるけどこれくらいの会話は普通のカップルでもするのでは?


 ふと思い出したが、才川さんにも幼馴染の彼氏がいると言っていた。幼馴染ということは私達よりも長い間付き合っていることになるしこれくらいの会話はするのじゃないだろうかと思い質問してみることに。


「才川さんも彼氏いるだろうに、これくらい普通じゃないの?」

「んー、私の彼氏は結構ドライだからね。一緒にご飯も作ったことないし、二人を見てるとなんだか置いていかれてる気分」


「あー分かる!私も彼氏いるけど一緒に作ったことないよ。私が夕食用意してる時なんてテレビ見るかゲームしてる、だから二人が羨ましいよ」


 そんなちょっとした愚痴を聞きながら、ポップコーンを用意していく。味付けは全部で6種類。


 キャラメル、チョコ、はちみつ、マシュマロ、イチゴミルク、抹茶。とりあえず生クリーム合いそうなもので作ってみた。


 次は由香里が用意してくれたクレープ生地にクリームを付けて、ポップコーンを置きくるくる丸めていく。今回のクレープは棒状の形にしてみることに、こうすることで最初から最後でポップコーンのサクサク感を味わえると考えたからだ。


 6種類無事完成し、4等分。全員で試食開始である。


サクサク


 しばしの沈黙とポップコーンの咀嚼音が響く。私達はまず無難にキャラメルから試食することに。


「うん、おいしいけど何か物足りない感じしない?美波ちゃん」

「そうだね、キャラメルがクリームに負けてる感じするかも」


「相沢ちゃんの言ってくるのも分かるけど私はこれくらいが好きかな、まだ全部食べてないからわかんないけど」

「私も結構好きかもキャラメル感が強くなくて…」


 と色々と意見を言い合いながら、1時間ほどで6種類を食べ終わることができた。


 そして出されたアンケートの結果。なんとキャラメル、チョコ、抹茶の3種類に決定した。普通、甘い、甘くないで別れた感じではあるけれど綺麗に分かれたんじゃないかなと皆合意の上での事。


 その後は片付けであったり、私と由香里がいつもどんな事をしているか聞かれたけどエッチの事を由香里には言わないで!と強く念押しし話した。流石に朝されて家に帰ってきてして、ご飯食べた後にして風呂に入ってもして、寝る前もしてなんて言ったらお盛んって言葉だけじゃ収まりそうにないもの。


 由香里は変態として名が通ってるけど私はまだみんなの認識では綺麗でありたい。


 そんなことを考えていると日も大分落ちてきて帰ろうかと話していると、


ゴロゴロッ


 雷の大きな音が聞こえてくた。風も強いのか閉めているシャッターからガタガタと大きく揺れている音がしている。ゲリラ豪雨と言う奴だろう。


「これは帰れそうにないかもね、相沢ちゃんと小泉が良ければ今日泊めてくれないかな?」

「私は大丈夫だけど由香里はどう?」


「うん…いいよ」


 そういった由香里はあからさまに嫌な顔をしていた。お泊り会って私わくわくするけど由香里はそうじゃないのかな?そんなことを思っていると由香里が「後で部屋に来て」と耳元で呟いてきた。


 まぁ拒否することないからいいけど。と晩御飯を由香里と用意をしてお風呂に入るまでゆっくりしててと二人言ったのち私は由香里の部屋へと足を運ぶのだった。


「何気に由香里の部屋に入るの初めてかも」


 そんな言葉を零しながら由香里の部屋をノックするとゆっくり開き腕を掴まれると真っ暗な部屋の中押し倒され、その後は防音な部屋でよかったなと思うほど乱れた声を出し続けるのだった。


*****


「ねぇ、才川っち。相沢ちゃん達遅くない?」

「んー、だねゆっくりしててって言われてもう30分は戻ってきてないよね、何してるんだろ」


「さー?覗きに行く?」

「いいねー面白そう。二人きりの時何してるか気になるし」


 私がそう言うと花崎さんと二人で移動し小泉さんの部屋の前でノックするか迷っていた。なぜなら、微かに聞こえる喘ぎ声が相沢さんの物だとわかるからだ。


 花崎さんと少し扉に耳を当てると、


「あっ…由香里もっと優しくして…このままじゃ…」

「美波ちゃんが悪いんだよ?二人を泊めるなんて言うから…あと1時間で大丈夫だから」


 何が大丈夫なのだろう…多分今花崎さん同じことを思っている気がする。そして聞いてはいけない物を聞いてしまった事により凄く気まずい…


 それから私と花崎さんは20分ほど二人の行為に耳を傾けた後、「バレるとやばいから」と言う理由でソファー二人して腰掛け、気まずい空気の中相沢さんたちの帰りを待つのだった。



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