第20話、ソウハルのリベンジ
ソウハルとミキはといえば3年程は大きな進展もなく、ミキが週に1回ソウハルのところに来るか来ないか見たいなペースで会っていた。
ソウハルはミキと普通に話はするし仲は良いのだが、ミキにとってソウハルは彼氏というよりはまだお父さん的な存在だった。だから中々、二人の距離は平行線といった感じで縮まらなかったのでソウハルは若干、不安を感じていた。
ソウハルがそんなことを考えていた時にカズヒコがソウハルの家にやってきた。
ソウハル「カズちゃん、ミキちゃんとは仲は良いんだけど中々、これ以上発展しないんだよね」
カズヒコ「だってミキちゃん今、31歳で総ちゃん今、63歳でしょ。若返ったとはいえ、ミキちゃんからみたらまだ、恋愛対象って気持ちにはなれないんじゃないかな?」
ソウハル「確かにもっともだよね」
カズヒコ「後、5年経つとミキちゃんは36歳だからずいぶん変わってくるかもしれないよ。まあ、上手くいってるんだったらまだ焦らないことだよ」
ソウハル「そうだよね。ただ、将来、結婚したら子どもも欲しいなって思っているんだ」
カズヒコ「ミキちゃんには子どものことまで話したりしたの」
ソウハル「そんなことまで話してないよ」
カズヒコ「40過ぎると女性は子どもを作るのは大変かもしれないから、もし結婚するとなって将来、子どもを作りたいんだったら30代のうちの方がいいかもしれないね」
ソウハル「俺もそう思うよ」
カズヒコ「でも、それは相手次第だよね」
ソウハル「まあ、後5年は今の感じのままでも焦らずにミキちゃんと仲良くしていくよ」
カズヒコ「じゃ、ちょっと立ち寄っただけだから今日はこのへんで帰るよ。聡ちゃんのちょうど20周年になるからまた、おやっさんとかみんな読んで今度飲みに行こうよ」
ソウハル「カズちゃん、ありがとう」
カズヒコはそう言い残して帰っていった。ソウハルはカズヒコにいわれた通りに最低でもあと5年は今のような進展性のない関係が続いてもミキとお付き合いしていき、いずれは一緒に暮らして結婚できたらいいなって考えるようにした。
翌日、今日はもしかしたらミキがくるかなって思いながら、真剣師として将棋を指していた。ミキはいつもソウハルの休憩中に来ていたが、この日はソウハルが物凄い表情をして将棋を指していたので声をかけにくく少し離れた場所でソウハルの表情を見ていた。ミキは今までソウハルが真剣に将棋を指している表情を見たことがなかったが、いつものソウハルとは別人でソウハルが真剣に将棋を指している姿が男らしくて「カッコいい」なって思った。
ソウハルはこの日、偶然にも以前、負けたことのある奨励会員と対局をしていた。この日のソウハルは凄まじい指し回しで奨励会員に勝つことができた。
奨励会員「ソウハルさん。今回は負けました」
ソウハル「以前、負けたから今回は一矢報いたいと頑張りました。ありがとうございました」
奨励会員「こちらこそ、ありがとうございました」
ソウハル「どうですか。将棋の方は?」
奨励会員「じつはやっとプロ棋士になれたんです」
ソウハル「おめでとう。よくやった」
奨励会員「ありがとうございます。僕も以前、ソウハルさんと対局した時よりも強くなっているのですが、今日のソウハルさんは強かったです」
ミキは遠くからではあるが、ソウハル達の話声が聞こえてきて改めてソウハルのことを素敵な人だなって思うようになっていった(続)
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