四千字ほどの短編なのに、読み始めてすぐ、乾いた終末世界の景色が見えてきます。
その中を走る郵便屋と、赤い相棒ミーティア。
世界観の説明を読んでいるというより、彼らがずっとこの世界で生きてきた時間の途中に、ふっと入り込んだような感覚がありました。
この物語で描かれる「届ける」という仕事は、ただ物を運ぶこととは少し違って見えます。
もう終わってしまったものに、最後のひと区切りをつけること。
それでも誰かの思いを、届くところまで持っていくこと。
読み終えたあと、郵便屋がこれまでどんなものを届けてきたのか、少し想像したくなりました。
短く、美しく、そして少し切ない。
終末世界を走る一人の郵便屋の物語です。