一体のアンドロイドが破損した。

AIや回路が焼け落ちて再起動も出来なかった。

アンドロイドは回収され、分解され溶かされた。

ある男が、その壊れたアンドロイドの破片を持ち帰り庭の隅に小さな墓を建てていた。

男がそれを忘れた頃、街中で新品のアンドロイドに声を掛けられた。

『ありがとうございます』

理由を訊ねれば、言わなければならないと思った、とのこと。

礼を言われれば悪い気はせず、どういたしましてと笑顔で返して一人と一体は別れた。

彼等はそれきり、再び会うことは無かったのだけれども。

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