第8話 カオスな王様ゲーム3

 父さん、母さん、お元気にしているでしょうか?

 俺は今、ランジェリー姿の女子大生たちと、王様ゲームという謎のゲームに興じています。


 最初は嫌々参加していた王様ゲームですが、今では楽しく参加しています。


 俺、成長したよ。

 本当に色々なことがありました。


 それはもう、様々な出来事がありました。

 その一つ一つが思い出深いものばかりです。


 まずは歩美さんのおっぱいを触ってしまい、いや触るように命令されてしまい、その後、千夏さんの見せパンを下ろして至近距離でパンツを見てしまい、キャローラさんにキスを迫られて、さらには下着だけの寧々さんと五分間ハグをするというミッションもクリアしました。


 とても濃い日々を過ごしています。

 これからも、きっと色んなことが起こるでしょう。


 そんな予感がします。


 さて、俺の意思はともかくとして、王様ゲームはまだまだ続いていきます。

 次はなにをさせられるのやら。


 俺は、この先どんなことが起きても大丈夫なように、心の準備をしておくことにしました。

 それでは、ごきげんよう。


 また心の手紙を書きたいと思います。


 いつか笑って打ち明けられる日が来ることを願いながら。


 真司より


「うおっしゃあああああ! やっぱ少年が3番だったか! さあズボンを脱げい、あたしらだけ半裸なんざ神様が許してもこのあたしが許さねぇ!」


 千夏さんが嬉々として叫ぶ。

 豹柄のブラジャーにおさまった巨乳が揺れる。


 他の三人も大盛り上がりだ。


 俺は渋々とベルトに手をかけ、ズボンを下ろし、パンツ一丁になった。


 この場にいる全員が半裸だ。


 王様の命令は絶対だ。


「いつも誰かが先に全裸になっちゃうんだけど、今日はまだ誰も脱いでないよね? でも~次に脱衣命令を誰かが引き当てたら~、具が出ることは確定だよ~」


 歩美さんがニコニコしながら言う。

 具ってなんだ。


 遠回しに言いすぎて、直接的な表現よりも卑猥に聞こえる。


「ははっ、俺はなんとしてでも死守しますよ。脱ぐのはあんた達の方だ」


 俺は一体何を口走ってるんだろう。

 これじゃあまるで、俺がこの人たちの裸に期待しているみたいじゃないか。


 違うんだ。

 俺はこの人らの裸に興味はないんだ。


 ただ自分の丸裸をさらすのが嫌なだけで、決して見たいとかそういう気持ちは一切ないんだ。

 

「ふっ……おチビちゃん、負けず嫌い」


「寧々さん。そんな姿で威厳を保とうとしても無駄ですよ。今のあなたはただの見栄っ張りにしか見えません」


 寧々さんのブラジャーは、肩紐が片方外れていた。


「ブラは自分のサイズに合うものを着ないとダメだってお母さんに習わなかったんですか?」


「く……ぬ……た、たまたま大きなカップのやつしかなかっただけだし……」


 顔が真っ赤だ。

 これは図星だな。


「少年よ、寧々をいじめてやるな。ぶはっ、ホントのことでも……ぶっ……言っていいことと、くく……悪いことが……ぷっ」


 千夏さんが笑いを堪えている。

 あんたが一番失礼だよ。


「キャロは早く裸になりたいでーす! ヨーロッパでは全裸当たり前でしたー」


 この人は放置しておいた方がいい。

 本能的にそう思った。


 それにしても、この人たちは本当にスタイルがいいな。


 千夏さんは、胸が大きすぎて、ブラがはち切れそうだ。

 歩美さんは、ちょうどいい大きさの胸に、綺麗な形のバストラインを描いている。

 寧々さんも、背は低いものの、手足がすらりと長く、バランスが取れていて美しい。

 キャローラさんは、スレンダーだが出るところは出ており、日本人離れしたプロポーションをしている。


 多分この人たちの素性を何一つ知らない男が見たら、全員モデルだと勘違いするだろう。


 ここが理想卿だと大声で叫ぶことだろう。


 しかし、知っているというのは時として残酷なものなのだ。


 悲しいかな、まったくと言っていいほど興奮しないのだ。


 あ。いや待てよ。

 一人いた。


 この中に一人だけ、俺の心を揺り動かす女性がいるぞ。

 ランジェリー姿の歩美さんのおっぱいは、正直かなり魅力的だった。


 あの柔らかそうな膨らみに顔を埋めてみたいと思わない男はいないはずだ。


 ちなみに俺はまだ一度も王様になっていない。

 

 運がないなんてレベルじゃない。


 王様になったって星を引けるかどうかもわからない。


 それでも――


「次は俺が王様を引きます」


「エロい顔してんな少年。それでこそ男だぜ」


「おチビちゃん……エッチ」


「キャロは今すぐ脱ぎたいのでーす!」


「いいね~じゃあ、再会するよ? 王様、だ~れだ?」


 歩美さんが割り箸を差し出す。

 

 望みに進むのが気持ちのいい人生ってもんだろ――


「お、俺です。俺が王様です。王様は俺です」


 俺は声を震わせながら言った。


 ついに来たか。

 この瞬間が。


 俺は生唾を飲み込んだ。

 そして、ゆっくりと息を吐く。


「星を引きます」


「……なんかただならねえ気迫だな。そんなにエッチなことがしたいのかよ少年」


「星を引きます」


 千夏さんの言葉を無視し、俺はティッシュ箱から一枚取り出した。

 そこに書かれていたのは――星だ。


 俺は震える手でそれを高らかに掲げた。


 歩美さんがパチパチと拍手をする。

 俺は深呼吸をして、命令を下した。


 みんなが固唾を飲んで見守ってくれている。


 歩美さんのおっぱいは非常に魅力的だ。

 そして俺は彼女が何番の割り箸を持っているかも知っている。


 さっきちらっと見てしまったのだ。


「では王様の命令をいいます」


 俺の声は緊張で裏返っていた。

 みんなが俺に注目する。


 俺は意を決した。

 大きく息を吸い込み、腹から声を出した。


 さあ言おう。

 王様の命令を。


 おそらくこれが俺の最初で最後の命令になると思うけど。


 いや、だからこそ全力で叫ぼう。

 恥ずかしいとかそういう感情は捨て去ろう。


 さようなら、理性。

 こんにちは、本能。


 王様の命令を告げよう。


 俺は、高らかに宣言した。


「王様はこのゲームを抜けまぁぁぁぁぁぁす!」


 ――おっぱいよりも大切なものがこの世界にはある。






 ――――――――――――――――――――

ここまで読んで頂き、誠にありがとうございます。


おもしろくなりそう!

続きが気になる!

という方は☆☆☆やブクマをしていただけると嬉しいです!

(ラブコメ週間ランキング100位以内に入りました。感無量で御座います)


フラグを回収したら『大学祭編』に突入します。お楽しみに。

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