第13話 忘れ去られた記憶 part5
レティシアはある屋敷の前に着いた。
屋敷の前には彼女が昔から知っている老人が立っていた。
「レティシアお嬢様、お待ちしておりました。
旦那様が中へお待ちです。」
彼の名はメイソンだ。昔からこの屋敷の主人の側近である。
彼女はある部屋の前に案内された。
「旦那様、レティシアお嬢様をお連れ致しました。」
「来たか、入りなさい。」
レティシアは中に入って、ソファに座り、向き合っていた人物に挨拶をする。
「レイモンド伯父様、お久しぶりです。
最近お変わりはございませんか?」
「ああ、ここ数年何の色も無い生活が最近ある出来事で変わったよ。だから、今とても良い気分だよ。」
と言って乾いた声で笑う。
レティシアは無表情で彼を見つめていた。
「まさか、こんなに早くレティシアから会いに来ると
思わなかったよ。そうだなあ、、私の計画は
こうだった、レティシアを王宮へ来れないように
して、王宮にいる全員を皆殺しにして、それから
レティシアをこの屋敷に連れて行くという計画の
予定だったよ。レティシアは特別だ。
レティシアは私にとって大切な姪っ子だ。
だから、最後まで見届けてもらうよ」
恐ろしい計画を実行しょうとしいる伯父に対して
レティシアは恐怖を覚えた。
「私を最後に殺す予定なのですね、」
彼は肩をすくめただけで答えなかった。
「どうしてこんな事をなさるのですか?
伯父様の行動を理解出来ません!
この国を誰よりも愛していたのではありませんか」
「ああ、愛していたよ。物心がついてからずっと
誰よりもこの国の幸せと平和を望んでいたよ。
だがいつからだろう不満を抱くようになった。
それは兄である私を差し置いて、
弟が王になった時か?いいや、違う。
王になった弟が私に玉座を奪われるのを恐れて
王宮から離れた、この地に追いやられたときか?
いいや。違う。王になる事なんて望んでなかった
よ。私は、、ただ、、、
愛する人と幸せになりたかっただけだったよ、、。
なのに、、どうして、、誰よりも愛していたこの国
が私の幸せを奪った。とても、平和な国で大好きだ
った、だが、現実は違っていたんだ。私はただ視野
が狭くて、気づかなかっただけ、、いいや、
見て見ぬふりをしたよ。実際に経験すると理不尽だ
が憎しみが生まれたよ。見て見ぬ振りをした側だっ
たのに、、。
それからだった。ある出来事が私の人生を一変させ
た。私は王の命令で国を一年間離れていた。
帰ってきたら妻は帰らぬ人だったよ。
信じられなかった。仕方なかったんだよ。
偶然と偶然が重なったから。
真冬の季節でもここでは雪は滅多に積もらなかっ
た。だが、その日だけは積りに積もった。
当時まだ5才だった息子が重い風邪に侵されて、
危険な状態だった。だが、あの状態で助けを呼べる
はずもなかった。だから、妻は魔法を使って、
我が子を助けた。彼女は、、妻は、、平民だったん
だ、、レティシアならこの意味が分かるだろう?」
レティシアはただ息を飲み込んだ。言葉が出なかった。
「彼女はこの国の掟を破った。だから病に侵され命を
落とした。その時からだったよ。不満を持つように
なったのを、あんな掟さえが無ければ、妻は死ぬ事
なんて無かったのだと心底思った。でも、、
私にはまだ息子がいた、、だから不満を、怒りを、
憎しみを胸の底に留めた。息子の為にな。
それなの、、」
突然狂ったように彼は笑いだした。
レティシアは彼をただ静かに見ていた。
いいや、、、声をかけられなかったのだ。
レティシアの伯父は笑いながら涙を流していたのだ
「明日で丁度2年だ。息子が、、息子が死んで
2年が経つ。妻が、、妻のエレナが命をかけてまで
救った息子の命を、、私は、、私は守ることが出来
なかった。アイツのせいで息子は死んだ。あの臆病
者のせいで、、息子は、、死んだ。
2年前、フィリップ王子は帝国で留学を命じられた。建前では留学で実際は人質としてだ。だか、アイツはそれに怖気付いて、身を隠して逃げた。
だから、替え玉が必要だった。一番適したのは
あの子だった、、とても危険だと知っていたから
私は反対した、、王様はある事を約束に息子を承諾させた。それでも、私は反対した、でもあの子は行かないと後悔すると言った。あれは、、王様は息子を脅したんだ。行ったら応援する、逆らったら邪魔をする。
と言うものだった。息子が、あの子がずっと唯一手に入れたいものを知って、それを利用した。
そして、私の予感が的中したよ、、内通者がいた、
替え玉だと告発した。怒った皇帝はあの子を酷い拷問に遭わてから処刑した、、まだ14才だったんだ。
遺体で帰ってきた息子は酷いものだったよ、、息子ですと、言われるまで分からなかった。
何度も何度も何度も何度も後悔した。
だから許せなかった。のうのうと生きているアイツが。息子はあんな酷い目に遭って、死んだというのに、なんであいつは笑って生きていると、息子の振りをして、レティシアに会ってへらへらと笑っている
アイツが許せなかった!だから、同じ目に遭わせようとこの屋敷に招き入れて、この手で拷問し殺した。
表では自殺として見せかけた。
そして、明日全てが終わる。この国を作り直す。
終わるまでレティシアには眠ってもらうよ。」
メイソンが背後にいると近づいた時には遅かった。
首に強い衝撃が与えられ、意識を失った。
目を覚ましたレティシアは見知らぬ若い女性に見下ろされていた。恐らく15か16くらいだろう。
「レティシアお嬢様、助けに参りました。
お父様が王宮にてお待ちです。」
(お父様が何故私がここにいると知っているのかしら?おかしい、、
(頭が追い付く前にもう遅かった)
目の前に伯父がいたのだ。
「レティシア、何故ここにいる?」
彼は驚いていた。
すると突然氷から作られていた剣が飛んできて
彼のお腹に突き刺さり、口から血を吹き出し
その場に膝をついた。
「う、裏切ったのか、、、イザベラ!」
レティシアの背後に隠れていた人物を睨む。
イザベラは姿を現し、彼を嘲笑った。
「ええ、もう協力をする理由が無くなりましたから。
この反乱が成功すれば貴族制度は廃止されたら、
ただの人となったあの方は私を見て頂けるかもと
夢を見ていました。なのに、、、それなのに!
お前が!お前があの方を殺した!」
レイモンドを殺気を込めて睨みつけた。
彼女は手を振った。
するとレイモンドの太ももや腕に彼女の魔力によっ
て作らていた鋭い氷が突き刺さった。
「伯父様!」
それを見ていた、レティシアは彼のところに
駆け寄ろうとしたが強風に吹き飛ばされて、
壁に衝突した。頭や体から血が滲んでいた。
彼女はレティシアに無表情で眺めた。
「レティシア様もう勝手に行動しちゃ
ダメじゃないですかあ。貴方を殺すのを
我慢して、我慢している私の身にもなって
くださいよー。加減なんて出来ないですよー?
今ので打ち所悪かったら、最悪死んでたんですよ?
今死なれたら困りますよ。貴方には大事な
妹様の死を見届けてもらいますから」
レティシアの頭に血が上る。
「エリザベスに指一本でも傷つけたら
絶対に許さないわよ!」
鋭くイザベラを睨む。
「怖い〜怖い〜。傷つけたらどうするの?
私を殺す?魔力不安定な貴方に私を殺せるかしら?
寧ろ此処に貴方がいるだけで後々皆んなからの
お荷物ですよ〜そんな貴方は何が出来ますか?」
と馬鹿にしたように問う
レティシアは彼女を言い返す事ができなかった。
彼女の言っている事が正しいからだ。今の
レティシアは無力でただの足纏いなのだ。
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