第40話今日ここを卒業します

 入学してからずっと、泣き虫だった私を支えてくれて有難う。


 陰日向となって、私を見守ってくれた貴方には、お礼を言い尽くせない程、感謝の気持ちで一杯です。


 3年前の入学式、不安で一杯だった私を、沢山の桜並木を背に、優しく出迎えてくれましたね。


 あの時の貴方の笑顔は、まるで舞い散る花吹雪のように、綺麗で素敵だった……


 それを見た私は、ここで3年間やっていけると、何故か確信した。


 その勘は見事に的中し、今こうして私は卒業を迎えたの。


 本当に有難う。


 改めてお礼を言うね。


 悲しいけれど、今日私は誰よりも優しかった貴方から卒業します。


 私が大人になった時、再び会ってくれたら嬉しい。


 その時まで……


 さよなら。


 私は今、入学式(アノトキ)と同じように、花びらが舞う桜並木に見送られ、正門から一歩飛び出した。


 そして、クルリと体を反転させて貴方を見つめ

「3年間、お世話になりました!」

と、明るく元気な声で何度目かのお礼を伝え、深々と頭を下げる。


 私の目の前には、日の光に照らされたレンガ造りの校舎が、威風堂々とした姿で建っていた。


お仕舞い


令和4(2022)年12月22日5:22~5:45作成


令和6(2024)年8月5日5:29~5:55改稿


お題『卒業』

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