器物の精や仙人国、妖怪に魔法のような道具や呪いのような病など、とにかく不思議なものが散りばめられている。詩才のある役人である欧陸洋がそれらに遭遇する短編集。不思議なものに詳しく、その対応を心得ている友楊淵起がミステリアスで頼もしい。淡々とした筆致で語られるのだが、なぜかとても美しい印象が残る。二人の活躍する本編があるようだが、未読でもとても楽しめた。
全編通して、淡々としながらも無駄がなく、雰囲気たっぷりな描写が素敵。作者様の中国における志怪(妖怪・不思議な話)や逸話などの知識が豊富なことからなせる技なんだと思います。苦労人で妖しいものに好かれやすい欧陸洋。彼の友人で、スマートに事態を解決に導く楊淵季。しかし、彼にも人間らしいところはあって…キャラクター達もみな魅力的で、気付けばどっぷりと、不思議な中華ホラーの世界に浸かってしまうこと請け合いです!