「皇帝の一番近くに侍《はべ》り囀《さえず》る、願いを叶える優雅で悪い鳥」と呼ばれる家令という特殊な集団。(紹介文より)
主人公・孔雀(くじゃく)は、15才のときに、その「家令」たちのかなめとなる「総家令」に、とつぜん任命される。
年端もいかない小娘を、「総家令」に選んだのは、皇帝・翡翠(ひすい)。
やがて、孔雀は「寵姫宰相」と呼ばれるようになる……。
はわわ、年若き皇帝と、見そめられた少女の成り上がり宮廷ラブロマンス♡
――では、ありません。
まず、皇帝は年若くない。
なんなら、親子ほど年が離れている。
そして、この皇帝に幼女趣味はない。
そう、ここには、カラクリがあったのです。
物語が進み、そのカラクリが判明したとき、
このふたりが紡いできたかけがえのない時間と思いに、
きっとあなたは、心ふるわせることでしょう。
主軸となるのは、孔雀と翡翠ですが、
『ステュムパーリデスの鳥 〜あるいは宮廷の悪い鳥の物語〜』は、
壮大な群像劇です。
たくさんのキャラクター達は、それぞれに個性的。
長所も短所も持ちつつ、生き生きと世界を駆け回る。
おそらくは、そのなかの誰かのどこかが、あなたの感性に触れるはず。
ぜひお気に入りの人物、お気に入りのエピソードを見つけてください。
恋愛あり、陰謀あり、浪漫あり……。
麗しの宮廷絵巻、あるいは、おとなげない宮廷喜劇☆
どうぞ、ご堪能くださいませ。
【レビューコンテスト応募】
とにかく推したい開幕10話。神戸港に入る客船「チカプカムイ」へ誘われる第1話の高揚から、「孔雀の羽のステンドグラス」「虹の噴水」「果樹園とパゴラ」と、豪奢なのに体温のある景色が次々立ち上がります。案内役は黒服の「金糸雀(カナリア)お姉様!」。足音のしないハイヒール(靴底のスエード/フェルト/コルク)や、星型のスワロフスキーの光まで描ききる細密さがたまりません。
物語の芯は『家令=悪い鳥たち』の群像劇。第2話の世界設定(「王様の幸福なお引越時代」「特別国家公務員CO種・CL種」「オリュンポス/ヴァルハラ」)が、豪華客船と宮廷のラインを一本で貫きます。新たに名を授かる「鵟(のすり)」=茜が、厳格な「白鷹(はくたか)」と包容の「孔雀(くじゃく)」の間で揺れながら、役目と自尊心を回収していく運びが鮮やか。
総評
「悪い鳥」に拾い上げられた少女が、劣等感と可笑しみを携えて『居場所』を手に入れていく物語。豪奢な舞台と骨太の制度設計、台詞のキレ(「お姉様と呼びなさい」「幸せになって」)が、読者をやさしく引き上げます。第10話「お妃候補脱落者」までで既に、続きを読みたくなる『群れの推進力』は証明済み。作者さん、最高です。もっと羽ばたいてください!
追伸
63話まで読ませていただきましたが、ネタバレを避けるため、第10話までの感想にとどめております。御了承ください。