この作品は、高校生の甘酸っぱい恋愛を描いた青春ラブストーリーです。幼馴染みから恋人へと変化していく描写が読者の心に響きます。
主人公の如月裕介は、幼馴染みの木下姫乃に密かな恋心を抱いていますが、なかなか素直になれない性格や、姫乃への想いを隠そうとする姿が等身大の高校生を表しています。思い立ったら即行動に移すところも彼の魅力です。
ヒロインの姫乃は頭が良く、裕介より上のクラスに在籍していますが、頭が良いだけでなく運動が苦手な一面も描かれており、明るく人懐っこい性格や裕介を気遣う優しさが魅力として描かれています。
物語は高校生活を舞台に展開し、バレンタインデーなどのイベントを通じて二人の関係が徐々に縮まっていく様子が丁寧に描かれています。誤解や葛藤を乗り越えていく過程が青春ならではの甘さと切なさを感じさせます。
主人公たちの内面描写の豊かさ。恋愛に対する不安や戸惑い、相手への思いやりなど、繊細な感情表現が随所に散りばめられた文章に胸がキュンとします。
また幼馴染みという関係から一歩踏み出す勇気、相手を思いやる気持ち、そして自分自身と向き合う姿勢。青春期特有の葛藤と成長が見事に表現されています。
読後感は温かく、読者に幸せな気持ちを与えてくれます。青春時代を懐かしむ大人から、現在進行形で青春を送っている若者まで、幅広い層に訴えかける作品だと思います。