選択肢はあなたの手に――読者参加型・意識の青春劇

　『メタる彼女と、それをメタる僕。』――タイトルからして只者じゃないですよね。

　実際、この作品、ただのラブコメじゃないんです。物語のループ、ゲームの選択肢、そして何よりも“読者への語りかけ”。読んでいると、ふと「あれ？このキャラ、私の存在に気づいてない？」なんて、妙にそわそわしてしまいます。

　登場人物たちも、ただのキャラじゃない。作者や読者の鏡みたいな存在で、会話の端々に「創作って何？」みたいな問いが隠れているんですよね。主人公の渉くんが求めているのも、恋の成就や勝利じゃなくて、「自由意思」――これって物語の中にいるキャラクターとしては、ものすごく深いテーマじゃないでしょうか。

　とはいえ、堅苦しくはありません。ボケとツッコミ、メタネタ満載で、ときにはクスリと笑いながら、それでも気がつけば「私たちは誰の物語を読んでいるの？」なんて、考え込んでしまう……。そんな作品です。

　ぜひこの作品を読んで、不思議な読書体験、ぜひ味わってみてくださいね。