第2話 多肉植物の擬人化?

おれはリビングの椅子に座った。

ヒメシュウレイも座った。


「それでは、今日から心さまとヒメシュウレイはこちらでお過ごしいただくことになります」


ええええええええ!!


「ふ、ふたりで一緒に住むということですか?」

「はい、その通りです」

「で、でもそれは男と女がふたりで一緒に住むってことで大丈夫でしょうか?」


おれはなにを聞いているんだ?


「はい、一緒に生活をした方がこれからなにかと都合がよいかと思われます」

「そ、そうなんですか」


ヒメシュウレイはそれでいいのか?

おれはヒメシュウレイをみた。

なんとも思っていないようだ。

まあ、そっちがいいならいいか。

でも、おれはちょっとまともに見れない。

だってエロ可愛いんだもんな~


「改めまして心さま」


プロリフィカが改まって話をしてきた。


「ようこそグラプトペタルム国へ」


え?


「ここはグラプトペタルム国っていうの?」

「はい、そうですがなにか?」

「い、いや」


多肉植物の属と一緒ってやっぱりなにか関係があるのか?


「ちなみにエケベリア国とかあったりする?」


そんなわけないか。


「はい、ご存じとはやはり心さまはただものではございませんね」

「ええ!? あるの?」

「お隣の国でございます。そして唯一男性が少人数ですが、残っている国でございます」

「そうなのか」

「カンテ国王さまは、このグラプトペタルム国を立て直すためにこの国にまいりました」

「え!? 今カンテっていった?」

「はい、カンテ国王さまです」

「国王はカンテっていうの?」

「はい、さようです」


この国はやっぱり多肉植物に関係があるんだ。

だって、おれがこの国に来てから多肉植物の名前しか聞いていない。

たしかに王さまは白くて光輝いていた。

まさにカンテそのもののようだった。

この世界はもしかして多肉植物たちが擬人化した世界なのか?

もしそうだとしたら……嬉しい~

おれは異世界にきても多肉たちに囲まれていられるなんて、こんな幸せなことはない。


「心さま、ここでの生活や洞窟などはヒメシュウレイがご存じですのであとのことはヒメシュウレイにお聞きください」

「はい、わかりました」

「なにかご質問などございますか?」

「いや、この世界は多肉植物の擬人化なんですか?」

「たにくしょくぶつとはなんでしょうか?」


ヒメシュウレイも首をかしげていた。

多肉植物を知らないのか。

まあ、擬人化といってもわからないか。


「いや、なんでもない」

「そうですか。では、わたくしはそろそろお城に戻ります」

「はい」


プロリフィカは帰っていった。

おれとヒメシュウレイだけになってしまった。

なにか、話をしなければ……。


「心(しん)」


急に呼び捨てですか。


「お腹すいたから、食料の調達に行きたいです」

「ああ、そうだな」


ヒメシュウレイは食事は作れるのかな。

とりあえず、外にでて食料の調達にでかけた。

おれはヒメシュウレイについていった。

すると、街の女性たちがおれをみてくる。


「ヒメシュウレイみんながジロジロみてくるんだが……」

「気にしないでください」

「でも……」

「みんな男性をみるのは久しぶりなのですから、しかたがないことです」

「そ、そうなのか」


おれは気にしないようにしていた。


「ここで、お野菜をかいましょう」

「ああ、なにをつくるつもりなんだ?」

「ないしょです」


わぁ~可愛い~

内緒にするところがあざとい感じだ。

悪くない。


――――


おれはヒメシュウレイに街の案内をしてもらった。

結構大きな街だから1回では覚えられそうにない。

少しずつ覚えていこう。

おれたちは買い物を済ませ家に戻った。


「ヒメシュウレイ、なにか手伝おうか?」

「はい、お願いします」


ヒメシュウレイは自前のエプロンをして料理を始めた。

エプロン姿も似合うなぁ~

…………っ。

おっと、いけない。

変な妄想はだめだ。


「心、このジャガイモの皮をむいてもらえる?」

「ああ、わかった」


皮むき器はないのか。

しかたがない、包丁で皮をむくか。

おれは皮をむきながら材料をみた。

ジャガイモににんじん、玉ねぎにお肉か。

この世界がおれたちの世界と同じ食の文化なら、シチューかカレーだろう。

でも、ここに牛乳があるということはシチューかな?


――――


「はい、ではいただきましょう」


おれの予想通り、シチューだ。


「いただきます」


おれは一口食べた。


「うん、うまい」

「そう、よかった。おかわりもありますよ」


ヒメシュウレイはとても嬉しそうだ。

それにしても料理上手なんだな。

本当に美味しい。


「おかわりしてもいいかな」

「はい」


おれはおかわりをした。


「ところで、ヒメシュウレイ」

「はい、なんですか?」

「きみのことをいろいろと教えてくれないか?」

「はい、なにをお話しすればいいのですか?」

「じゃあ、まず……きみはいくつなんだ?」

「わたしは、14歳です」


14歳かぁ~

たしか、王さまの話では12歳には洞窟にいくといっていたな。

少し遅いということか。


「いままではどこで暮らしていたんだ?」

「少し離れた街で家族と一緒に暮らしていました」

「そうか」

「母と10歳の妹がひとりいます」


お父さんはいないんだな。


「お父さんは……」

「父は、妹が産まれてすぐに亡くなりました」

「そうか」


10年前に亡くなっているんだな。


「この世界は男性がいないと聞いている」

「はいそうです」

「それは、お父さんが亡くなった10年ほど前のことなのか?」

「はい、だいたい15年ほど前からどんどん男性が亡くなっていきました。わたしの父は最後のほうです」

「そうだったのか、つらいことを思い出させてしまってすまない」

「いえ、大丈夫です。……心」

「なんだ?」

「わたしははやく洞窟にいって成人したい!」

「ああ、わかってる」


でも、洞窟の情報が足りないんだよな~


「ヒメシュウレイは洞窟にいったことはあるか?」

「はい、もちろんです。なんども、ひとりで入って魔物を退治しました」

「それで?」

「だめでした。1階層から抜け出すことができませんでした」

「そうか」


ひとりだと意味がないんだな。


「よし、あした洞窟に行ってみよう」

「いいのですか?」

「もちろんだよ、でもおれは魔物退治はしたことがないから少しずつ進む感じになるぞ」

「はい、わかっています。でも嬉しい~」

「そうか」


ヒメシュウレイの顔は嬉しそうだった。

ヒメシュウレイの頬がピンク色になっていくのがわかった。

可愛い~

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