第1話からこの作品の空気が全部伝わってくる。
文明崩壊後の世界で、ニナとマギーお姉さんはポレシャという居留地に転がり込む。チートも無双も無い——二人の手元にあるのは、槍とバットと少しの手持ちだけだ。
廃墟漁りに出かけて見つかるのは、傷んだブリキ皿と空き缶。「割に合わない!……当たり前だけど」と嘆くお姉さんの姿が愛らしい。夜は路地裏で毛布に包まり、野犬の遠吠えに息を呑む。
この作品の凄みは、ポストアポカリプスの過酷さを力で乗り越えるのではなく、「割に合わないことは次からやめよう」「何かしら探してみるよ」という現実的な知恵と楽天性で切り抜けていくところにある。家族写真入りの写真立てを見つけても売り飛ばせないお姉さんの感性が、世界の荒廃の中に人間の温度を灯している。
「どうすれば幸せに生きられるか」を地道に模索する二人の物語——続きが読みたくなる丁寧な世界構築が光る一作。
物語の読ませ方が非常に高水準。詰んだ世界に善意の灯を灯す群像劇です。
短いエピソードでキャラクターを立たせる技術は珠玉のもの。
主人公が危険とリターンを天秤にかけながら一歩一歩生活を改善していくストーリーをしっかりと主軸に据えつつ、他の登場人物たちの物語も短いシーンの中で印象的に描写して、絡み合う思惑が紡ぐ戦いと陰謀のスペクタクルを群像劇としてまとめています。
文明が廃れ、法治と道徳が崩壊し、荒野にはミュータントや野犬やゾンビや蟻や盗賊などが巣食う「黄昏の時代」。流れ者としてポレシャ居留地にやってきたマギーとニナは、日雇いの仕事をしながら行商や依頼に取り組み、徐々に生活水準と共同体の中での立場を高めていきます。緻密に設定されたワイルドウェストなポストアポカリプス世界で、それでも人間たちはたくましく生きている。そんな姿を丁寧に描いた傑作です。