物語の読ませ方が非常に高水準。詰んだ世界に善意の灯を灯す群像劇です。
短いエピソードでキャラクターを立たせる技術は珠玉のもの。
主人公が危険とリターンを天秤にかけながら一歩一歩生活を改善していくストーリーをしっかりと主軸に据えつつ、他の登場人物たちの物語も短いシーンの中で印象的に描写して、絡み合う思惑が紡ぐ戦いと陰謀のスペクタクルを群像劇としてまとめています。
文明が廃れ、法治と道徳が崩壊し、荒野にはミュータントや野犬やゾンビや蟻や盗賊などが巣食う「黄昏の時代」。流れ者としてポレシャ居留地にやってきたマギーとニナは、日雇いの仕事をしながら行商や依頼に取り組み、徐々に生活水準と共同体の中での立場を高めていきます。緻密に設定されたワイルドウェストなポストアポカリプス世界で、それでも人間たちはたくましく生きている。そんな姿を丁寧に描いた傑作です。