物忌み
善道は、貫之を雅楽寮に連れて来てしまったことを、ひどく心に病んで、貫之が病にかかってしまった時のことも思いやって、家に連れて来たのだ。
善道の家の閉ざした門には、「
「
善道は
御簾の隙間から冷たい風が吹き込んで、掻き起こした炭を赤めた。善道は寒さに首をすくめ、返り見る。
定省の後ろ姿に、善道は言った。
「君、
「それは、」
定省は振り返る。善道は気付いた。
「『
紀善道は、紀貫之にも、
「『風邪』に触れて、熱が出た時には、紀氏が静める」などと善道が言った時には、さすがに貫之は、怪しむ
「
「ここには、誰も近寄らないように言ってあるから、見てたって、母も、
善道は向き直ると、火桶に炭を足して手をかざしている貫之を見て、あきれる。
「よく関わりのない
「関わりはないので。」
「
しかし、定省は扇を
「母と、私を
「それは――
「ならば、ここではなく、長谷雄様の家に居た方がいいのではないか」
「今は、長谷雄様は、章成の風邪を静めるのに忙しいからねっ」
「そうか…。章成も早く静まればいいが…」
二人が話すのを聞いてもいないような貫之の横顔を、定省が見つめる。
「君の母の
「母の親族にも、
定省に貫之は横顔を見せたまま、言い閉じた(断言した)。
「母の
「舞の
なおも聞く定省を
――氏が分かったところで、名乗りもできない。
「
定省は、善道を見上げた。
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