第2話 魔道具、君に決めた
「お主もこの世界に行ってみるか?」
「えっ!?いいんですか?」
「うむ。よその世界から初めてきたのじゃ、どんな風にこの世界に影響するのか見て見たくなったのじゃ」
「やったー!ぜひお願いします!」
この魔道具とやらがあれば、少なからず何かしらの魔法っぽいものが使えるんだ!これは行くしかない!
「少し条件があるがお主には魔道具を選ばしてやるわ」
おっ他の人は神様や部下の人が選んだものなのに選べるんだ、これが異世界チートか!
だが、条件。異世界に行くから魔王を倒せや、世界の平和を言われたら・・・正直にいって無理だと思う。
「条件ってなんでしょう?」
「なーに簡単な事じゃわ。わしにお主の世界の話を聞かせてくれ、特にどんな武器があるのかアイデアが欲しいのじゃよ」
「えっそんな事で!?」
思ったよりもかなり軽い条件に驚く。だけど・・・武器も神様が作ってるって言ってたな、いい出来もあれば悪い出来もあるのかな?
「まぁそういう事じゃ、自分で良い線を行っとると思っても不評なやつとかのう、結構ショックを受けるわい」
だが、これはいい。この条件は僕にとっては得意分野である。
僕はゲーム、漫画、アニメを読み漁っていたので地球での物語上の武器には心当たりがある。
何なら自分で考えた最強武器というのを中2の頃にノートへ書き込んだりもした、黒歴史持ちだ。
「おぉ何かしら心当たりがあるのじゃな」
神様はすぐ心を読むな。
「わしにとって、心で思っておろうが声に出していっておろうが同じに聞こえるのでな、口が動いているかどうかの違いだけなのじゃ、すまんな」
なるほど、もう声に出すのやめます。あっでも、心で思った時は敬語じゃないかもしれませんがご了承を。
「よいよい。それでの前はアイデアが溢れておっての〜、色んなものを作ったが、強く作りすぎた物を授かったやつが力に溺れることが多々あったのじゃ、今はそれなりの力のある物しか与えておらんのじゃ、先程見せた斧と剣は結構強めじゃぞ」
武器バランスも大事だもんな、ただ強くするだけでも駄目って結構難しいだろうな。
後で弱くすることは出来るのかな?
「授けた後は弱くや強くは出来んな。使用者が死ぬと魔道具もこっちに帰ってくるからの、そのときに新しく同じようなものを少し弱く作るのじゃ」
実装した後にナーフと上方修正は無理か。でも一人一つで、自分の武器が周りに比べて最強だったらそりゃ調子乗るだろうな。
「それに魔道具という名前じゃから、武器以外も作っておるぞ?見た目よりたくさん入る袋や、ほれ先程斧を授けた時に神官が虫眼鏡持っておったじゃろ、あれも魔道具じゃ」
なるほど・・・そうなると職業に強く左右してしまいそうだ。
「そうじゃな、たまに目つきの悪い悪人面のやつには武器系じゃなく、調理系や裁縫系の魔道具を渡しておるわ」
顔で判断するのは可哀想だが、平和には少し繋がりそうではある・・・かも。
「そうじゃろそうじゃろ。それで、どうじゃ?ワシの世界に行ってみるかの?」
「勿論です!行きたいです!」
「なら決まりじゃの、まずはお主のその黒歴史ノートの武器の事から教えて貰うかの」
その後は僕ご自慢の武器から地球の物語にあるような武器の話をし、これまで神様が作った強すぎる武器のことなどを聞いた。
正直黒歴史ノートは闇に葬りたかったものだ。あれを学校で書いていて、クラスの陽キャに見られみんなに回された時は・・・だけど、今その過去が報われたような気がした。
神様は僕の話を真剣に聞き、必死にメモを取ってくれていたのだ。
そうなれば僕も饒舌になり、ドンドンと話は盛り上がる。
そして思った事は、僕が異世界に行った時に僕が教えた武器に近いものを持つ人が現れるかもしれないなと思えた。
「ふーー、興味深い話が多かったわい、やはり固定観念にとらわれた発想をしていたようじゃな」
いえいえ神様も地球では聞いたことのない能力をお考えで、実に楽しかったです。
ゲーム好きな僕としては作者の裏設定を聞いたような感覚でした。
「お主とはまた話しがしたいのでな、こっちの世界で死んだらここに呼び戻すから、その時は一緒にここで武器作りを手伝って貰おうかの」
僕も異世界に行くか、ここで働きたいとも思ってたので嬉しいです。ぜひ、お願いします。
そして武器の話が終わると、僕が神様の世界に入り込む為の準備の時間となる。
異世界の一般常識を聞いたが地球と変わりは無かったので新しく覚える必要は無かったのは幸い。
時間、日、週、月、年などや、kgやcmなどの単位も一緒。
お金の知識は白金貨は100万円、金貨は1万円、銀貨は1000円、銅貨は100円。などの一般常識を教えて貰いながら、頭に叩き込んでいく。
転移場所をどこかにするという話で王国、帝国、連合国、聖教国などの地理も教えてくれたのだ。
そして転生でなく、転移と言う形に近いような感じになるらしいので、この世界で当たり障りないような黒い皮のフード付きのローブのようなゆったりとしたコート、綿でできた白のインナーに、黒い皮のズボン、皮のショルダーバッグを一つ、中には金貨5枚を支給され至れり尽くせりである。
「ここまで準備して、すぐに魔物にやられるというのも面白くないわな・・・よし、少し加護的な物をやるかの」
おぉチートがここにも!
そして体が光だしたのを感じるとともに、ちょっと体の変化を感じる。
「いや・・・お主が思っとる微量じゃな。寿命を少し長く不老にしといたわい。体も少し強い程度にはなる・・・が、無敵や不老不死ではないぞ。ケガもするし病気にもなるからからな、あまり気にしない方が良いかもな」
「長く生きれて、不老・・・十分な気が、それにもう体が軽いですよ!」
「まぁの向こうに行って、魔道具の生の声を多く聞いて貰いたいからの」
「なるほど・・・調査もちょっとしてほしい感じですか?」
「いや、そこまでは気にする必要はない。知り合ったやつから聞く程度で構わん」
「ふんふん、分かりました」
既に肌はすべすべで、体が軽い状態となり心ははやる気持ちでいっぱいだったが、ここから長丁場である。
そして最後に魔道具選びとなる。
僕の魔道具は今、異世界に渡っていないものから選ばして貰い、神様のおすすめなども聞き選ぶ事に。これにはかなりの時間を費やした、それもそのはず、神様の武器ストックは万を超える為に、気になる物は片っ端から試しぶりをさせて貰った。
だけど、異世界。魔物がいるという事で、強さもいるのだが・・・世界観も微妙に発展し微妙に発展していない世界と知り、便利さも両立できる物が良かった。
それを見つけて、もうこれしかないと思うようになってしまい魔道具選びは終わりとなる。
「粗方準備も説明もそれなりにしたのでな、大丈夫じゃろうが早々に死ぬでないぞ」
大丈夫です、それに死ににくい魔道具選びましたので。
「それなら良いがの。じゃがそれは強いか弱いか分からんのでの、不信な挙動や使用感をまた教えてくれ」
はい、分かりました
「うむ。では名残惜しいがそろそろしばしの間の別れじゃの。向こうに行けば直接は交信は出来ないからな、頑張って生きるのじゃぞ」
はい!大丈夫です。この魔道具と共に世界を回ってみます。
「うむ、では行ってくるがよい」
その神様の声を最後に僕の体は光に包まれた。
僕の両手にはナイフが1本ずつ握られ、腰に1本のナイフの魔道具をさして異世界へと旅立つのだった。
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