「桜の樹の下には、死体が埋まっている。」このフレーズに取り憑かれた主人公「僕」は、恋人のミオとお花見に出かけるのだが、その真の目的は……。淡々とした筆致と、洗練された耽美的世界観に酔い痴れた!
嘘から出た真といいますが、火のないところに煙はたたないわけで、真があるから嘘が生じるのだとすると、そもそも嘘は真を映す鏡、もしくは真の影で、両者は表裏一体なのかもしれません。この作品の恐ろしさはそこにあります。単にサイコパスで片付けられない怖さを感じて欲しいです。
桜、夜空、コンビニのネオン、ブランコの音に、それから鉄の匂い……。五感に訴えかける描写が、まるで自分がその場にいるかのような、読書の旅に連れ出してくれます。臨場感のある作品です。素敵な作品をありがとうございました。