第178話 アンハンの南
会頭クロリスと専属冒険者リーダーのウィンデル達の打合せの結果、少しでも早く出発することが決まったようで、西のモンヴァルト山脈から引き返した翌日には南に向けて出発している一行。
「もしセルヴ大森林から魔物が溢れたのであれば、北の魔の森から離れる南方に向かう方が安全ですよね」
クロリスが出発時に話していたが、それよりも早く荷物を届けたい相手が西側に居るのだとユリアンネ達は考える。たとえ南側に大回りしてでも西側に向かいたいので。自分達もトリアンでの騒動、“蒼海の眼”から離れることは望ましいことなので、もちろん反対ではない。
アンハンの街を出てしばらくは引き続き森であり、通常オーク達の襲撃はあったが、特に問題なく撃退し、その更に南の平原に出る。
「ここから平原がかなり続いて、その先にある山脈が国境にもなっていて、それを越えるとステルビア王国だぞ」
旅慣れている先輩冒険者でもあるウィンデル達が若いシミリート達に教えてくれる。
成人になったばかり程度でまだまだ子供と可愛がって貰えているのか、魔物の襲撃の心配がなくなった野営ではそれぞれの得意武器の訓練をしてくれるなど、何かと面倒を見てくれるようになった。
「もしかして、私たちを勧誘しようとしています?」
シミリートがこっそりウィンデルに聞いてみるが、
「気にするな、甘えておけ」
と笑われる。誤魔化されたのであろうか。
メイユやコルバックの付近は草原ではあったが、こちらは必ずしも草が生い茂るわけでもなく樹木もそれなりに生えている。ただ、見晴らしが良いこともあり、安全な行程である。
アンハンより南に街はなかったが、ところどころで村レベルの集落はあり、場合によってはその村の宿に泊まることもあったが、それほど大人数は宿に入り切らず、基本的には商人達だけ、もしくはウィンデル達までだけであった。
ユリアンネにとっては、そのような時には身近に仲間しか居ない夜になるので、魔法の訓練などが気楽にできるようになり、逆にありがたかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます