このエッセイは、私たちの周りに広がっている無音の世界について描かれている。
ただし、一口に「無音の世界」と言ってもその様相は様々だ。全く無音の世界を生きる人だけではなく、「難聴を持っている人」や「少しだけ聞こえる人」、無音の世界にいながら読唇術で「聞こえるように振舞える人」もいる。そして無音の世界に生きる人々がそれぞれ異なっているように、手話も一つではない。手話と言えば、ニュースや手話通訳などで見る機会のあるモノだけだと思い込みがちだが、同じ言語の手話でも種類があるし、国が違えば当然手話も違う。
また、このエッセイの素晴らしいところは、この「無音の世界」をフラットに展望して、聴覚障害のある方々の役に立とうとしている人々にもスポットを当てているところだ。聴者にとって「無音の世界」は分かりにくいものだ。しかし「無音の世界」と「音のある世界」にも歴史があり、その中で補聴器や就学、憲法まで、人々の努力によって変化してきたのだ。
このエッセイを拝読するまで、小生は「音のない世」について知らないことが多すぎました。そして拝読するたびに自分の無知に打ちのめされます。しかし作者様は真摯に細かい部分まで調べて質問に答えて下さり、拝読前よりも世界が広がったと思えるようになりました。そして、自分の周りにある世界はまだまだあるのだと、気づきます。
是非、御一読ください!