この英雄、色を好みすぎる!!
犬雑炊
第1話 ヒュトレイアスの英雄
ヒュトレイアス王国騎士見習い補佐、「ココット・アルコット」はたたわに実った
胸部をぽよんぽよんと弾ませながら、辺境の森の道なき道を一人進んでいた。
「ふぅ…何でこんな所にあの英雄様が住んでいるのかしら?」
ヒュトレイアスの英雄「セクス」。彼は3年前、突如王国を襲った魔族の軍団を
たった一人で退けた人物である。しかし彼は国を救った後、何故か人との関わりを断つかのように、ヒュトレイアス領の南西の辺境の奥地に居を構えて隠遁生活をしているのだった。
「…何か理由があると思うけど、今はなんとしても王城にお連れしなくては。
ヒュトレイアスは今一度、英雄の力が必要としているのですから!!」
ココットは額の汗を拭いながら、深い森をズンズン進んで行った。
――暫く進むと森が切れて平野に抜けた。ココットが周りを見渡し、ん~?と目を凝らすと、遠くに家らしき物が見えた。
「あ、きっとあれだわ!!」
ココットは超ダッシュでその家に辿り着くと、玄関のドアを叩いた。
「すみませ~ん、どなたかいますかぁ~?」ドンドン
「…はいはぁ~い。ただいまぁ」
可愛らしい声が聞こえがして扉が開く。そこには銀髪ツインテールでメイド姿の小さな女の子が現れた。
「え~と、あの~…どちら様ですか?」
「あ、ああっすみません! 私、ヒュトレイアス王国騎士見習い補佐の
ココット・アルコットと申します。今回、ヒュトレイアス王からの
命でセクス様を王城にお連れするよう仰せつかって参りました!!」
ココットは背筋を伸ばし、ビシッと敬礼をする。
「これはご丁寧に。アタシはリタ。セクス様のお世話をしている者です。
セクス様は今、裏の畑にいるんです。ご案内しますねぇ」
ぴょこぴょこと歩くリタの後について、ココットも家の裏にあるという畑に
向かった。
「セクス様~、お客様ですよ~」
リタの声に上半身裸で畑の耕していた男が振り返る。
「!!・・・あの方が…セクス様」
風になびく黒髪、整った顔に畑仕事で汗に濡れる鍛え抜かれたシックスパックボディ。その姿はまるでそれは美しい一枚の絵画の様であった。
「…お前は?」
「は、はい! ココット・アルコットと申します!!」
「……」
セクスは肩に掛けた手拭いで顔を拭きながらココットをジッと見つめる。ココットは自分を見定められているのかと思い、背筋をのばして胸を張った。ブルン
「……」
「!! う、うぅっ…」
急にリタが胸を押さえて呻く。
「え!? ど、どうしたの? リタちゃん、大丈夫ですか?」
「あ…はい。大丈夫です」
「…で、ココットとやら。俺に何の用だ」
「はい!! ヒュトレイアス王が貴方を王城まで連れてくるようにと
おっしゃっております。ご動向をお願いいたします!!」
「あの王が…?」ビキッ
ココットの言葉にセクスが怒りを露わにする。そんなセクスを見てリタはアワアワとセクスの周りをうろちょろしだした。
「? あ、あの~…ヒュトレイアス王と何かあったのですか?」
おずおずとココットが聞くと、セクスは小さく舌打ちをして怒りを納めた。
「……というか、お前よくここまで来れたな」
「え?」
「そう言えばそうですねぇ。ここって外に侵入、脱出不可の結界が張ってあるの
に…」
「あ、もしかしてこれのおかげですかね?」
そう言うとココットは腰のポシェットからピンク色の小さな宝石を取り出した。
「ここに来る前に王から渡された物です」
「あ、これ…この結界を制御する魔道具ですねぇ」
「なるほどな。持ち主なら簡単に入れるようになってるのか」
「そうなんですか? よく分からないですが便利な物なんですね。これ。
さぞかしお値段もお高い…」
パキーーン!! と、いきなりココットの手の中にあった魔道具が砕け散った。
「え? えええっ!! 砕けたー!! 私、何もしてないよ。これって
弁償!? 高いよね? 弁償かな? ね!? ね!?」
「落ち着け、お前のせいじゃない。どうやら新しい客が来たようだ」
セクスの視線を追ってココットが空を見上げると、こちらに向かって何かが
飛んでくる。
「な、なんですかあれは!?」
「あれは…魔族ですぅ!!」
ドォォォンと土煙を上げてセクスたちの前に現れたのは、大きな二本の
ツノに背中には大きなコウモリ様な羽、そしてゴツゴツとしたガタイのいい
体の正に絵にかいたような魔族だった。
「グハハハ!! あんな弱い結界でオレを止めれるものか!!
…そこの男、お前がセクスだな? 我が王の命令だ。死ね!!」
「リタ!!」
「はい!!」
セクスの言葉にリタは急いで家に走る。
「ココット、お前も逃げろ」
「そうはいきません!! 私だって騎士の端くれ。戦えます!!」
「バカ! お前じゃ相手ならない。とっとと逃げろ!!」
「何をじゃれ合ってやがる! さっさとオレと勝負しろ!!」
バキッ!! 魔族に殴られセクスはズササ~と、地面を削りながら吹っ飛ばされた。
「セクス様!!」
ココットは慌ててセクスに駆け寄る。だがセクスは腕を組んで、何やら唸っていた。
「う~ん、どうするかなぁ…」
「あ、あれ? 何かノーダメ?」
「ん? アー、ソンナコトナイヨー。コレハマケソーダナー。ヤバイ、マジヤバイ」
「くっ、そんな…セクス様でも無理なら一体どうすれば…」
「…ココット。アイツに勝つ方法が一つだけある。それにはお前の協力が
必要だ」
「わ、私が!? 勿論です!! 私が出来ることでしたら何でもします!!」
「ほお!! 何でもするんだな!?」
「はい!!」
「よし! お前のその覚悟、しっかり受け取ったぞ!!」
ムンズ!!
「え」
セクスはピョンと素早く起き上り、ココットの後ろに回り込むと、両手を伸ばして胸を鷲掴みにした。
「きゃあああああ!! な、なななな何をするんですか、セクス様!!」
「ぐへへへへっ!! 初めて見た時からずっとこうしてやりたいと思ってたんだ。
すげぇ揉みごたえだぜぇ!! うひょ~~!! トンデモボリュ~ミィ~ww」
さっきまでの精悍な顔のセクスはそこには無く、まるで狒々爺のようなゲスイ顔の
セクスがココットの胸を揉みまくっている。
「セ、セクス様! 止めて下さい!! こんな…あんっ…時に何を考えて…
んっ…るんですかぁ!!」
「何を言う。これは俺の力を高めるのに必要な行為なのだ。何でもするんだろ?
なら黙って…は面白くないから、アンアン言いながら揉まれてろい」モミモミ
「こ、こんなので力が高まるわけないじゃないでかぁ~!!」
「ガアアアア!! お前ら、オレを無視して何ちちくりあってじゃボケェー!!」
魔族が激高してセクスたちに襲い掛かってきた。
「まだ俺が胸揉んでる途中でしょうがぁ!!」バキャッ!!
「ブベエエハエエエエエ!!」
セクスの見事なアッパーカットで、魔族は鼻血を吹きながら空に吹っ飛んだ。
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