2024年 自選

~俳句~


千の遺思

聳えた碑碣の

夏日陰



~都々逸~


押して押されて

曇りて晴れて

波の狭間の

恋難き


風のワルツの

手をとりはらり

くるり落葉は

音をたて



~五行歌~


大樹ではないかも

けれど包容

広げた枝で僕に問う

風が吹いて

木葉は照れているよう


ツンと刺す

冷たさは

冬季の陰りの空気感

それは尖った木の先の

シルエット


大轟花のしだれ桜

燃える如く

枝はしなり

その先の若葉ひとつに

シャッターを


打水はなく

風鈴もなく

この臨死の真夏に

汗があり

セミはなく


炎陽

緑陰の葉は

濃淡を描き

摂氏三十八度の

星瞬く空や


ふわり山茶花

ほほえみの香り

寂れた日なたの花屋にて

ちょっぴり背筋と鼻が高い

自分の姿が言いましたとさ

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